2000年7月7日
7月6、7日に行われた神奈川高教組の定期大会で、「考える会」代表の中陣唯夫が行った「ご支援お願いのあいさつ」を以下に、資料として掲載します。
「人事異動要綱」違反の不当配転の撤回をめざして、ご支援お願いのあいさつ
中陣唯夫(神奈川県立秦野曾屋高校)
神高教第60回定期大会にご出席の大会代議員の皆さん、ごくろうさまです。
この4月、神奈川県教育委員会が私に対して強行した不当人事の経過等についてのべ、皆さんのご支援をお願いしたいと思います。
私は昨年10月、「意向調書」を提出する時点で57歳。そして、「異動意向」も出していません。
これは「県立高校人事異動要綱」に照らして、明らかに「人事異動対象除外者」であります。にもかかわらず、県教育委員会は秦野曾屋高校への不当配転を強行しました。つまり、労働協約とも目される「人事異動要綱」を、しかも1988年以来、約のべ14〜15万人に運用されてきたはずのこの「人事異動要綱」を県教委自らが「反古」にしたわけであります。私の聞いたところによりますと、教職員課の幹部が「あんなものは単なる目安だ」と捨てぜりふを吐いたそうです。
ちなみに、私同様この二点があるにもかかわらず強行異動させられたもう一人の方は、昨年秋、私の前任校で4年生の修学旅行が管理職2名の非教育的な判断で勝手に旅行社にキャンセルされるという「直前中止事件」が発生しましたが、その時同じ4学年の担任でした。
3月31日の分会代表者会議に出されました「討議用資料」でも本部執行部見解として指摘されていますように、この不当人事は、@に理由を明らかにしないままの異動の強行は、「異動要綱」の恣意的な運用となること、Aにこれを許せば「異動要綱」の信頼性が失われ、同時に人事異動そのものの信頼が失われること、Bに人事が組合の組織攻撃に使われる恐れがあること、の以上三点からも、きわめて不当で、大きな問題をはらんでいる人事であります。
地方公務員法では、「処分を行う場合、その職員に対し処分の事由を記載した説明書を交付しなければならない」とありますが、当局は理由も明らかにしないまま、「異動要綱」違反の人事を強行するといった恣意的運用をしながら、「処分」でないから理由を明らかにする必要はない、「私が『人事異動要綱』だ」と言わんばかりの専断的な姿勢にあることを、許すわけにはまいりません。
こんなことを一人歩きさせたら、教職員の教育活動を行ううえでの基本的条件や人権がまったく否定されてしまいます。不当配転のターゲットは組合員はもとより、全教職員に及ぶでしょう。教職員組合 ― 神高教は不当配転攻撃で火ダルマになってしまうでしょう。この点からも私は、一歩も引くわけにはいかないのであります。
スト権を奪った代償機関、民間でいえばチェック機関である労働基準監督署に準ずる人事委員会は、1回の審議で、「勤務条件に関するものではないから措置要求の対象とはならない」との決定書を4月25日に出し、門前払いをしました(審議した人事委員会〈定数3名〉は、委員長が15年余にわたり人事委員を務めてきた弁護士、委員は元県立高校校長と元県立図書館長)。
これで県人事委員会は、真に第三者的機関として「人事行政の運営に関し、任命権者(教育長)に勧告すること」ができるのでしょうか。こんなことで県民の子弟の教育を付託されている教職員の身分保全のチェック機能は本当に保障されているのでしょうか。
この6月に通知された小森教育長の「教職員の勤務における服務の厳正な取り扱いについて」や職員会議の校長補助機関化を現場に徹底する総務室長名による通知「職員会議に関する校内規定等の適正化について」など、県教育委員会は国の反動的教育政策を貫徹するために教育の条理を踏みにじり、「服務」を盾に教育現場の営々たる努力を粉砕するような管理統制を強めています。ここには、「服務等」で一面的な法的運用をもって教職員にその順守を迫りながら、自らは教育関係諸法や「異動要綱」を反古にして顧みないという、教育の府にあるまじき所行が展開されています。このような県当局の姿勢に、私の職場も含めて現場が挙って激しい怒りと抗議の思いをたぎらせています。
さらに、東京で導入された「人事考課制度」の検討、高校再編の名による県立高校のリストラ政策、「日の丸・君が代」完全実施の強制等々の攻撃が陸続としてかけられています。
こうしたきびしい情勢のもとで、この私の不当配転問題に対する解決のあり方、終結の仕方が、そのまま神奈川の教職員の、また神高教の今後を決定づけると考えます。私自身はこのように凡庸な一教員にすぎません。しかし、こうした関係において、私はたいへんな役割、誤解を恐れず申し上げれば、身に余る光栄な役目を担っているのであります。
幸い、早速に本部執行部全員に代理人になっていただき、二人の顧問弁護士の方にも取り組んでいただいておりますが、5月20日の中央委員会でも正式に組織支援を決めていただきました。
この7月の半ば頃には、県人事委員会を相手取り行政訴訟を起こす予定です(注 7月21日、横浜地裁に提訴しました)。本部執行部代理人代表の鈴木書記次長のさらなる援助も受けながら、果敢に戦い抜く覚悟であります。
こうした司法面での取り組みとともに、公務員の訴訟事は、大きな世論をつくって処分者(任命権者である小森教育長)を追いつめていくことが一つの強い力になると聞いております。
組合員の皆さん、分会総会や「分会ニュース」でこの問題を取り上げたり、この「お願いのあいさつ」をリプリントして職場に配布したりして下さるようお願いします。また、分会教研や支部教研など、さらに教育や人権等に関する集会などがありましたら、ぜひ私を呼びつけて、話す機会をお与え下さい。仕出し弁当よろしく、駆けつけるつもりでおります。
こうした行動、交流が同時に、きびしい情勢下にある神高教の反転攻勢の一助にもなればと思っております。
最後に、本部執行部、顧問弁護士の方々、そして7700人の組合員とともに、きっちりとたたかいぬくことを重ねて申し上げ、連帯の気持ちを込め、私へのご支援お願いのあいさつといたします。
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