2002年4月17日
「よこはま定時制父母の会」は3月29日、2002年度の高校入学試験が終了したことを受けて、「強引な定時制募集停止が招いた大混乱、犠牲、苦しみ・・・・」という緊急アッピールを発表するとともに、横浜市教育委員会教育委員長に対し公開質問状を提出しました。
以下に、その公開質問状を資料として掲載します。
平成14年3月29日
よこはま定時制父母の会
代表 吉田みどり横浜市教育委員会
教育委員長 殿教育委員長への公開質問状
少子化と「初めから定時制を希望する生徒はいない」との理由で定時制3校を募集停止し、替わりに実体の伴わない3部制の横浜総合高校を設置した結果、2月18日の横浜総合高校第1回入試で600人の大量不合格者を出しました。更に、3月8日横浜市内の定時制入試の志願者は定員699人に1057人が志願し、定員割れした工業科の人数を差し引くと387人の不合格者が出ることが明らかになりました。「学校」で学ぶ意志はあるが全日制へ行かない、あるいは行けない全ての生徒を引き受けてきた定時制高校の定員が足りないのです。市内全日制12校を6校に減らし全日制の枠を狭める県の「再編統合」計画にも今回の責任の一端があるとはいえ、横浜市教育委員会の迷走ぶりは目を覆うものがありました。
昨年12月27日、私たち「よこはま定時制父母の会」は今日の事態を憂慮して主に以下の2点につき教育委員会へ請願を行いました。
@戸塚高校定時制、鶴見工業高校定時制のクラス数を増やす。
A3部制高校のクラス数を増やす。
約3ヶ月後、入試2日前の3月12日にやっと請願審査が行われました。教育委員長並びに教育長の答弁は、クラス数の変更は『県が(協議・調整の)実権を持っているので市だけでは決められない。制度的にできないので(この請願は)不採択にせざるを得ない』とのことでした。
しかし、県教委に問い合わせると『協議・調整が行われているのは全日制だけであり、それも最終決定権は設置者にある。定時制については設置者の責任で定員を増やすことは制度的にも可能』との回答を得ました。更に事態の緊急性を重視した県教育委員会や川崎市教育委員会は、横浜市に先立って入試翌日3月15日に自らの責任で35人から40人への定員増を発表したのです。
それに対し今回の混乱の当事者である横浜市教育委員会は『今春限りの特例措置で、合格裁量権を持つ校長が合格枠を可能な限り増やす』ことを学校へ強要しただけです。その理由は、教育委員会席上でクラス数(定員)の変更は『制度的にできない』と明言した以上、教育委員会の責任で「定員増」するとは言いがたく、校長裁量による「合格枠の拡大」を要請し、『(限りなく)受検者数を上限として、合格者数を決定することができる』という前代未聞の教育長名「通知」を出しました。数合わせのために乱暴にも「全員合格」させようと入試当日から合格発表まで約1週間近くも学校現場に強要する茶番を演じ続けたのです。
しかし、事は教育委員会の思い通りにはなりませんでした。3部制高校では教育委員会の意向に沿って「合格枠の拡大」(3部は全員合格)する一方、戸塚高校では教育委員会が主張する校長裁量による「合格枠の拡大」ではなく、「定員枠を拡大」し2クラス70名を教育委員会の責任で2次募集すべきとする学校現場の正論に押し切られました。しかし、それを『教育長の強い要請による特別措置』と称し、教育委員会自身の責任を明確にせず、それぞれの学校の不統一の対応のまま事態の収拾が謀られました(その後教育長は今回の措置をあくまでも「合格枠の拡大」で処理しようとしています)。
今回の混乱で当事者である生徒にどのようなことが起きたのでしょうか。3月8日の志願者確定後、横浜市内で387名の不合格者が見込まれ、慌てた県・市当局は入試(3/14)が終わった後にもかかわらず、県立高校は定員を(3/15)、市立の3部制高校は合格枠を(3/18)、それぞれ増加させ合格発表(3/19)で、急遽81名追加合格させました。それは、事前に志願変更をして不利益を被った生徒の人権を侵害した措置でした。こうしたその場しのぎの措置で、306名の進路未決定者(受検辞退、欠席を含む)が出たのです。
さらに定時制の2次募集試験(3/27)で、約100名の行き場が確保されただけで、今年度は当初定時制を希望していながら今回の混乱で途中で諦めたり、不合格になった生徒は200人にのぼります。昨年まではほぼ全員が合格した定時制の2次試験だったのが、今年度は通常では考えられない犠牲と苦しみを受検生に強いたのです。これは、明らかに教育行政の失政と言わざるをえません。
以下に、今回の混乱の責任者である教育委員長に質問いたします。【質問事項】
@戸塚高校のクラス増は合格枠の拡大ですか。定員枠の拡大ですか。
A定員枠の拡大であるならば、教育委員会の決定事項であるはずですが、教育委員会は開かれたのですか。
B合格枠の拡大であるならば校長の裁量権で2クラス70人合格を増やすことが教育長の特例措置として可能なのですか。もし可能だとするならば、教育委員会規則にこのことが明示されているのですか。明示されていないとすれば教育委員会を開くことが必要になりますが、教育委員会は開かれたのですか。
C教育委員会でクラス数を増やす請願を不採択にしておきながら、教育長の権限でクラス数を増やせるのですか。
D3月12日教育委員会定例会の席上「定時制のクラス増(定員増)は制度的に市教育委員会の権限ではない」とした虚偽の上で請願を不採択としましたが、それは意図的にですか、それとも知らなかったのですか。
E教育長はクラス増(定員増)でなく、「合格枠の拡大」で混乱を収拾しようとしましたが、その理由は何ですか。
F教育委員会で一度不採択された戸塚高校定時制のクラス増を、同じ教育委員会の一員である教育長がその決定を無視し2クラス増を行いました。教育委員会の決定より教育長の権限のほうが強いのでしょうか。直ちに教育委員会を開催し教育長の責任を問いただすべきだと思いますが、いかがでしょうか。教育委員会の見解をお聞きします。【要 請】
@今回の事態を重く受け止め、入試状況を正しく分析し、計画そのものに無理があったことを謙虚に認めて、謝罪してください。
Aこの教訓を生かし『根本的な計画の見直し』を強く求めます。
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