2011年3月28日

2011年3月25日

神奈川県知事   松沢 成文 様 
教育委員会委員長 平出 彦仁 様

経済不況と震災から中学校卒業生の高校進学を守る緊急措置要請

                 

かながわ定時制・通信制・高校教育を考える懇談会

横浜市立定時制高校の灯を消さない会
        代表  高坂 賢一
よこはま定時制父母の会
        代表  沢崎 三郎
かながわ定時制通信制教育を考える会
        代表  中陣 唯夫
定時制高校を守る市民の会かわさき
浅野 栄子
不登校の親の会(こだまの会)
        代表  馬場 千鶴
教育委員会を傍聴する会
        代表  土志田栄子
港南区・教育を語る会
代表 三輪智恵美
県民要求を実現し、県政の革新を推進する連絡会 事務局長
 佐伯 義郎
新日本婦人の会神奈川県本部
会長  高浦 福子
神奈川県教育運動連絡センタ−
  事務局長 加藤  誠


 定時制後期選抜の二次募集合格発表を控えて、募集人員オーバーの28人の子どもたちに4度目の不合格の烙印を押すことなく、子どもたちの高校進学の願いをかなえてやるよう緊急の措置をとるとともに、この問題解決のため抜本的見直しをするようお願いします。

 併せて、県民が心を痛め、自分も何か支援できないかと考えている東北関東大地震による地震・津波・原発被災で神奈川県内に避難された中学卒業生、高校生の高校進学、転入学を保障する緊急措置をとるようお願いします。

1. 定時制2次募集志願者が不合格とされて、不本意に通信制に押しやられることのないように、志願者を希望どおり受け入れる緊急措置をとってください。

〈理由〉
  この志願者の多くは、全日制・定時制前期、全日制後期、定時制後期で不合格とされ最後の望みを託している子どもたちです。不登校や病弱、外国籍など学習上の困難をかかえ、経済的にも恵まれない子どもも多い。こうした学習上最も援助を必要としている子どもたちを卒業の難しい通信制に追いやるなど許されません。ちなみに、通信制の修悠館高校の09年度退学者は760人に及んでいます。

 貧困の世代間連鎖を断ち切るためにも、いま、こうした子どもたちに手厚い支援が必要です。現在の不合格者の状況は、「適格者主義」というよりは定員絞り込みによる「弱者排除」となっています。その厳しさは、志願変更が1人だったことにも表されています。夜間の安全性、長距離通学、高額の通学費など、他に空きがあっても調整する余裕がありません。定時制の地域的偏在のため、「平均競争率0.86%」でも子どもたちはどうすることもできないのです。


2. 東北関東大地震による地震・津波・原発被災で神奈川県内に避難された中学卒業生、高校生の高校進学、転入学を保障する緊急措置をとってください。

@ 被災したために高校入試を受験できなかった子ども、地元の高校に合格したがその学校に通学困難な子どもなどに11年度高校進学の機会が奪われることがないように特別な措置を講じてください。

A 避難の高校生が新学期から安心して高校生活を送れるよう、その転編入には特別な措置をとってください。

B 受験料、入学金、授業料その他の費用の免除、教科書、体操服など高校生活に必要な物の費用等を補助する特別措置を講じてください。

C こうした特別措置を速やかに発表して、子どもたちの学校を心配する避難を考える人々が安心して神奈川に避難できるよう支援策を講じてください。

〈理由〉
 いま、県民は「震災救援・復興に自分も何かしたい」と願っています。子どもたちのためにできる最大の支援は、子どもたちに安心できる学びの場を提供することではないでしょうか。震災の子どもたち救援に神奈川の力を発揮してください。


3. 神奈川県教育委員会議でも再三問題とされ、来春の結果を見て見直しも検討せざるをえないとの結論をえている公立:私立・他の6:4体制を抜本的に見直し、全日制高校を希望する子どもは全日制で、定時制を希望する子どもは定時制で、通信制を希望する子どもは通信制で安心して学べる神奈川にしてくだい。

 知事の主宰する公私設置者会議で確認してすすめる以上、公立の定員を絞り込むというならば家庭の経済力に関係なく私学を受験できる公私間学費格差解消が前提でなければなりません。それを一体的に解決して全日制高校への進学率を上げること。

〈理由〉
 公私立高等学校設置者会議で公立高校全日制の定員を絞り込んでいるために、経済力のない家庭の子どもたちが全日制高校への進学を諦め、定時制に進学せざるをえない。そのためさまざまな困難をかかえる子どもたちが定時制にも入れず、通信制に流され、高校卒業までたどり着けずに挫折する神奈川の現状は直ちに改善されなければなりません。


4. 先に発表された「入学者選抜制度の改善について」「これからの県立高校のあり方」の報告では、この最も重要な前提条件となる公立高校の定員と私学学費補助問題には全く触れていません。これを協議する県民代表もふくむ検討会議を設けて、県民に開かれた論議で子どもたちが夢と希望をもって学べる神奈川にすること。

〈理由〉
 公私立高等学校設置者会議などでの定員計画が立案された前提条件に、「100年に一度」といわれるような深刻な経済不況・貧富格差拡大・家計悪化などは想定されていませんでした。

 公立高校の定員をいくら絞り込んでも私学には流れていきませんでした。公立高校授業料無償化・私学支援金制度が実施されても改善されませんでした。

 子どもたちのために原点に立ち返って、県民に開かれた検討の場をもってそのあり方を抜本的に再検討する必要があります。

以上

トップ(ホーム)ページにもどる