2005年11月29日
11月27日、横浜駅西口にある県民センター2階ホールにおいて、第5回神奈川県定時制・通信制高校進学説明会が行われました。当日は、中学生とその保護者を中心に約60名が説明を聴きに来ました。また、現役の定時制生徒、卒業生、生徒や卒業生の保護者、そして県立および横浜や川崎市立の定時制教職員、退職教員などのスタッフ30名が運営に当たりました。
今回も、生徒、卒業生、保護者がこれまでの体験を人にはあまり話したくないことも含め、ありのままに熱く、感動的に語ってくれました。これから、この体験談を当日のテープを起こしながら少しずつ紹介していきます。
まず、最初に進学説明会実行委員会の委員長のあいさつを掲載します。
あ い さ つ
皆さん、寒さもひとしお身にしみる季節となったこの日曜日に、私たちが主催する「定時制・通信制高校進学説明会」にご参加をしていただきまして誠に有難うございます。
早いものでこの「定時制・通信制高校進学説明会」も5回目を迎えますが、この説明会はどこの高校でも行っている入学説明会とは違い「定時制や通信制の良さを知ってほしい」と願う生徒、父母、卒業生、先生が中心となって自分達の時間を割きながら何回も準備会を開き今日に至っております。
しかしながら、私たちの思いとは逆に神奈川県の高校入学制度は厳しく、全国的にみても劣悪で私学の「空枠」を温存し公立全日制枠を多く減らした定員計画のため大量の全日制不合格者が定時制や通信制に殺到している状況がここ4年間も続いております。
今までの定時制高校や通信高校は、学習のつまずき、いじめ、不登校、高校中退などで傷ついた子供たちの「生き直し」の場として重要な役割を果たし、いわば「教育の砦」であったにもかかわらず、子供たちに入試の段階から競争を強いているのが現実です。
どうか皆さん!今日はそのような厳しい入試を乗り越えて学んでいる生徒さんや、立派な社会人となっている卒業生さん、わが子と葛藤しながら育てた親御さんの苦労話や定時制・通信制高校の魅力について「生の声」を聞いて「自分がえらんだ学校」、「自分の生き方を認めてくれる学校」をつかんでください。
2005年11月27日
神奈川県定時制・通信制高校進学説明会実行委員会 実行委員長
進学説明会 アンケート結果
・いろいろな体験を聞いて、我が子も不登校をしているので心配しておりましたが、少しは安心しました。
・たいへん参考になりました。先生方にも本音で伺えてよかったです。
・不登校だった子が高校に行けるようになったというお話を聞いて、本当によかったとうれしいです。
・非行で本人も(?)親も悩んでいる子の行き場がなくて困っています。体験談の中にこういう事例もあれば来年聞かせて下さい。
・もう少し機械的な説明会かと思っていましたが、とてもアットホームな感じで、楽しくお話を聞けました。
・(定時制や通信制は)全日制より良いのではないかと感じました。
不登校であった息子が、学校が楽しくてたまらなくなりました県立定時制高校保護者
私は、港南台に住んでおりまして、三人の不登校の子供をもつ親です。その一番上の長男が小学校の4年生くらいから学校へ行かなくなり始めまして、ずっとゲームざんまい、旅行ざんまいをしていまして、何の勉強もしてこなかったんです。中学3年間一度も学校に足を踏み入れたこともありませんでした。
卒業式のときに、中学校全体で20人くらいのお子さんが不登校でしたので、不登校生を集めた卒業式を、全体の卒業式が終わった後にしてくれるというので、それなら行ってみるというので、初めて中学校に行きました。そのとき、校長先生が「何もしてやれなくて御免ね」と言ったもんだから、(息子は)それなら1日くらい行ってもよかったかなと後悔したくらいで。
卒業証書をもらったところで、(息子は)今度はバイトを始めまして、バイトを始めたら高校生でも、中学生でもなくて、「君は、その他だよ」と言われまして、「その他なのか、僕は」ということで、その時に「じゃ、高校に行ってみるかな」ということで、勉強を始めてみると、実は掛け算も忘れていました。で、どうなるのかということで、高校をあちこち見学に行きまして、高校の先生に励まされながら、教科書も(不登校が)4年生からなので見つからない状態で、教科書どこにあるんだろうと言う感じだったのですけど、ちょっとだけ自分で勉強していたみたいです。ドリル自分で買ってきたりして。
今回入試で作文があったんですけど、作文大の苦手で、受験一週間前作文用紙に名前と題名と一行だけ書ける状態で、それが400字書かないといけないということで、一週間一生懸命練習しました。紙に向かって書くとできないのです。携帯などのメールならスラスラできるのですが。自分の携帯で文章をすーと書いて、これをメールにして送る、これのやりとりをして、今度は紙に書かなくてはならない。字を書くためには、漢字を書かなくてはならない。自分の書きたいことは書けるようにして、受験に臨みました。
受験するときにとても大変だったのは、自分の良いところを書かなくてはならない(自己推薦書)ということで、(息子は)良いところなんて書くもんじゃないと言って怒り始めたんですね。他人に良いところなんて、何で教えなくちゃならないんだなんて言って、そんなこと書くもんじゃないと言いながらも、書かなくてはならないからしょうがないから書いたんです。他の人から見たら、これはきっと悪いことなんだろうけど、自分にとってはこれは良いことなんだという内容で書いたんだと思うんです。
定時制に合格して、高校に行き始めまして、すぐやめるのかなと思いながらも、(私は)のんきに構えていましたが、今は学校が楽しくて楽しくてたまらみたいです。実際は、勉強は追いついていないと思います。百点満点中、二桁になったら喜んでいます。社会とか積み重ねでないものは、勉強が楽しいようで、百点とかいっているようです。たとえば、社会でこの間選挙がありましたから、選挙のことから衆議院、参議院の学習に入ったり、堀江社長のことから、それが授業に取り上げられると、興味があってすごくいい点を取ったりしています。かといって、数学や英語となると、英語なんて全く分からないので、日本語を丸覚えして、この辺に当てはまりそうなことを書いたら当たっていたと言っていました。
部活動も始めまして、演劇に入って、この間の部活動祭で主役だったのか何だかわかんないのですけど、出番から最後までずっとしゃべっていました。とにかく、楽しいようです。毎日部活しているんで、授業は9時に終わるんですけど、部活は10時半くらいまでしていて、家に着くのが11時半くらいで、家に着いてから3チャンネルのしゃべり番組を楽しんで、他の人の意見を聞くのがとっても楽しいみたいで、しゃべり場をずっと1時間くらい眺めてから寝るみたいです。そんな一日を過ごしています。
以上です。
定時制という学校があることが、とても嬉しいです
私は、中学校の時遊んでたり部活ばかりしていて勉強をあまりしていませんでした。高校受験の時、どの高校を受験するか、とても悩みました。高校に行くことすら迷いました。 1度は、私立の高校に行きました。校則が厳しく、少し窮屈でした。私立の高校を辞めて、また受験することになりました。本当は全日制を受験したかったけど、成績が足りなくて定時制を受験することになりました。
最初定時制のイメージは、「怖いところ」とか「嫌なところ」とか「不良のたまり場」などの印象があったので、とても嫌でした。また、不安もたくさんありました。
でも、実際通ってみると、みんな個性的でいろいろな過去をもっている。また、年齢もバラバラで、自分のスタイルを大切にしていて、自由な学校でした。毎日、学校がとても楽しいです。授業は面倒だなって感じるときもあるけれど、それでもきちんと授業にでれるのは、友達がいるからです。今昼間仕事をしていますが、それも学校を休まずに行く秘訣かもしれません。
定時制はあまり印象がよくないけれど、良い人がたくさんいます。私は胸を張って定時制に通っていることを言えます。私は、今の(定時制の)学校にきてよかったと思います。「定時制」という学校があることが、とても嬉しいです。