2026年8月28日

 7月24日、「かながわ定時制・通信制・高校教育を考える懇談会」は黒岩祐治神奈川県知事と県教育委員会教育長に対して来年度(2027年度)の全日制高校入学定員、奨学金の拡充、県立高校の施設・設備の充実、中学3年生の進路調査の6月実施、少人数学級、統廃合反対などについての請願書を提出しました。

 7月30日の神奈川県公私立高等学校協議会、および8月7日の県教育委員会8月定例会議において、請願書についての意見陳述を「かながわ定時制通信制教育を考える会」の金崎が行いました。以下、8月7日の県教委会議での意見陳述と請願書を紹介します。
      

 意見陳述


 「かながわ定通懇談会」の金崎です。元県立高校の教員です。

 請願書2ページの資料1のグラフで明らかなように、90%を維持してきた全日制の進学率が、2019年(令和元年)度から低下し、2022年(令和4年)度には89.6%となり、90%を切りました。その後も低下し続け、昨年度は87.9%まで落ち込み、今年度も同じ87.9%でした。公私協議会や設置者会議では「概ね9割を維持している」として、この現状を深刻視していないのは、極めて残念です。

 まず、全日制進学率が「なぜ、このように急激に低下してきたのか」、その根本要因を詳しく分析検討してください。

 次に、請願書4ページ資料3で明らかなように、62.1%あった公立高校への進学率が9年連続低下、58.0%になりました。今年度はさらに1.1%減少し、56.9%にまで低下しました。この低下の主たる要因は、県立高校への進学が大きく減少していることです。

 なぜ、県立高校への進学が減少しているのか、その要因を詳しく分析検討してください。

 県立高校については、トイレの改修や特別教室へのエアコン設置などはすすんでいますが、体育館などへのエアコン設置は遅れています。

 施設・設備の充実に努める私学の取組みを参考に、県立高校の施設・設備をリフレッシュすることによって、より一層の充実を図ってください。

 最後に、進学率が低下してきている要因の一つとして、広域通信制高校への進学増加があげられます。広域通信制高校の代表的な学校であるN高等学校については、この学校を退職した職員が、華やかにPRされている裏で、「公式の卒業率とは異なる卒業率」とか「隠れた学費」などの実態をネットで明らかにしています。

 7月には進学が決まると言われている広域通信制の実態については、中学校の教員も保護者もほとんど知りません。「中学卒業予定者の進路希望調査」を、中学校の教員が余裕をもって進学指導ができ、その調査結果を当該年度の募集計画に反映できるようにするために、この調査を6月に実施してください。以上です。

 

資料1のグラフ




資料3のグラフ



 


神奈川県教育委員会
 教育長 花田 忠雄 様


2027 年度に向けて、全日制を希望する子は全日制で、
定時制を希望する子は定時制で、通信制を希望する子は通信制で、
子どもたちが安心して学べるように、十分な条件整備をもとめる請願


2026年7月24日
かながわ定時制・通信制・高校教育を考える懇談会

<懇談会団体>
横浜市立定時制高校の灯を消さない会  代表   高坂 賢一
かながわ定時制通信制教育を考える会 代表   保永 博行
定時制高校を守る市民の会かわさき 代表   浅野 栄子
不登校の親の会(こだまの会) 代表   馬場 千鶴
教育委員会を傍聴する会 代表   土志田栄子
港南区・教育を語る会 代表   田崎秀一郎
県民要求を実現し県政の革新を推進する連絡会 事務局長   神田 敏史
新日本婦人の会神奈川県本部 会長   田中由美子
神奈川県教育運動連絡センタ- 事務局長   宮田 雅己

 
 2013(平成25)年度から実施してきた「公私ともに定員を設定する方式」によって、全日制進学率は2021(令和3)年度までは、90%台を維持してきました。

 しかし、ここ4年間は90%を下回り、2019(令和1)年度から7年連続低下し、昨年度(25年度)は87.9%まで落ち込みました。こうした現状を、公私立高等学校協議会(公私協)や公私立高等学校設置者会議(設置者会議)は「概ね9割を維持している」として深刻視していません。県教育委員会(県教委)も、これを問題として捉えているとは思えません。

 2024(令和6)年10月の全日制進学希望率は88.7%であり、2025(令和7)年度の進学実績(進学率)は87.9%でした。この差0.8%は全日制を希望していたのに全日制に進学できなかった率をしめしています(資料1参照)。

 また、定時制や通信制に進学した実績は、ここ数年定通制進学希望を約3%上回っています(資料2参照)。この約3%は不本意入学といえます。

 以上のことがらを踏まえ、2027(令和9)年度生徒募集計画において、以下の項目について請願します。


【請願項目】

1.公私協および県教委は、全日制進学率低下の根本要因を詳しく分析検討して、公表すること。

2.公私協と設置者会議は全日制進学率の向上を目指し、「目標とする全日制計画進学率」を策定するとともに、次年度の進学率の目標を決め、県民に公表すること。

3.「目標とする全日制計画進学率」は、平成11(1999)年度策定の「県立高校改革推進計画」で掲げた目標値93.5%以上とすること。

4.2027(令和9)年度の進学率の目標については、この間目標値より実績値が2%ほど下回ることを踏まえ、92%以上として、最低でも実績値が90%を上回るよう、公立、私立の募集定員を策定すること。

5.公立、私立の高校奨学金を給付制奨学金にするなど充実するとともに、通学費など、授業料以外の費用についての支援制度を充実すること。

6.公私協の委員に、中学および高校の教員代表、PTAおよび保護者代表を、オブザーバーでなく正式メンバーとして参加させること。

7.生徒募集計画の策定に当たっては、中学生・高校生の意見を聞き、反映させる仕組みを工夫すること。

8.広域通信制への進学が7月には決まることを考慮し、現在10月に実施している「公立中学卒業予定者の進路希望調査」を、当該年度の募集計画に反映させるために6月に実施し、生徒の進路希望の実態に沿った募集計画を作成すること。

9.校舎の全面改築や施設・設備の充実に努める私学の取組みを参考に、県立高校の施設・設備をリフレッシュすることによって、より一層の充実を図ること。

10.生徒の学ぶ権利を保障するため、1学年9学級以上の過大規模校や過密学級を生み出す高校統廃合を中止し、今後新たな高校削減はおこなわないこと。

11.生徒個々に対応できる学習環境と感染症予防対策として学級内での身体的距離2m(最低1m)を実現するため、来年度の1年生から35人学級など、少人数学級実現のための教育条件整備計画を策定すること。

以上




【資料1】 全日制進学率(実績)と前年10月調査の全日制進学希望




【資料2】 定時制・通信制進学実績と前年10月調査の定時制・通信制進学希望




【資料3】 県内公立全日制進学者率(実績)と県内公立進学希望率




【資料4】 県内私立全日制進学者率(実績)と県内私立進学希望率



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