2003年4月29日



川崎市教育委員会事務局 『教育振興計画案』の修正提示を表明

(教育委員会審議  傍聴記W)

 

4月22日午後1時半より川崎市民ミュージアムにおいて、本年度初で通算5回目の教育委員会審議が約1時間にわたって開かれました。傍聴には、父母、生徒、教職員、市民など20名ほどがつめかけました。

 冒頭、前回に委員より要請のあった「単位制」に関する資料について市教委より、県内実施ならびに予定3校の資料を抜粋したものが各委員に配付され、説明されました。

 さらに、この3校に資料を参考に、単位制と学年制の相違等について作成した『単位制における科目の履修について』も配付され、質疑に供されました。

 質問で主だったものは、@文科省で卒業最低履修(修得)単位数は74単位以上となっているが、3年制、4年制、専門学科でどうしてその単位数がちがうのか、Aフレキシブルというが、学年途中や進級途中で志望変更ができるのか。途中で生徒が、そんなつもりではなかったという場合、どうしているのか。Bフレキシブルというが、大学のように志望変更なしにできれば素晴らしいことだが、変更を避けて無難にと考え、安きに流れた選択になるということはないのか。C単位制高校で長年行っている学校はあるのか。D横浜総合高校は、V部(夜間)を選ぶと、そこから他部へ移れないというが、それでも人気があるといわれる点は何か、などでした。

 これに対して市教委から、おおよそ次のような応答がありました。A学校によっては事務手続き上そのような制約もでてくると思うが、ガイダンスを徹底したり、事前の問い合わせも常時対応するようにしている。前期後期の2期制で進路変更を受け入れることは可能と思う。コース制でないので、履修科目の変更などで対応できると思う。Bたしかに十分留意すべきだが、アメリカの例では「科目のデパートメント」になってしまい、批判される実状があった。しかし、日本ではよりアカデミックな科目に絞り履修させようと思っている。C神奈川総合高校は平成11年から、大阪市立高校では単位制で3部制を平成3年より行っている(実状については、不明)。DV部(夜間)では他部の科目を10単位以内で選択できる。

 傍聴して感じたことは、3部制単位制高校の大きなネックは、進路変更などを考えた場合に、本当に生徒の進路希望に対応できるのか、ニーズに応え得るのかという点にあるということでした。この点は、委員長、委員も含めて「フレキシブルの意味は『柔軟』ということだが、(進路など)コンクリートにしないということですね」などの質問が出たように、いま一つ得心がいかないように思われました。

 また市教委が単位制の利点を、川崎市立定時制の平均退学率23.38%より全国単位制高校の平均退学率が13.5%と低い点に求めて報告していたのは、定時制にたいする認識が肝心なところで浅いのではないかと感じられましたが、他の傍聴者の方々はどう感じられたでしょうか。

 最後に、委員長が今後の審議の方向性についてどう計画しているのかと市の担当者に問うたのに対し、「これまで4回の教育委員会審議を行ってきたが、10回目の策定委員会を開きたい。これまでの審議を踏まえて検討、なるべく早く『教育振興計画(案)』の修正案を出したい」との方針を提示。委員長の「(市教委として)一部手直しを考えておられるということですね」と確認したのに対して、「修正案が出たところで、また委員会で審議していただきたい」と市教委側が答えて、この日の審議は終了しました。

 修正案が「一部手直し」であるとしても、『再考を求める請願』の本旨を真正面から受けとめるような修正案と、それに対する委員会の真摯な審議をさらに期待したいものです。

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