2001年12月30日

 12月16日、埼玉県立浦和商業高校定時制を卒業した重原健二さんから、「かながわ定時制教育を考える会」に一つのメールが送られてきました。そのメールでは、埼玉県でも神奈川の横浜のように定時制高校の募集停止の計画が強引に押し進められ、重原さんの母校の浦和商業高校定時制も募集停止の案が出され、今大きな反対運動が起こっていることを知らせてくれました。
 また、彼が定時制に出会い、教職員や仲間たちとのふれあいのなかで、どのように自分を見つめ直し、本当の自分を取りもどすことができたかを実にリアルに語ってくれています。そして、「今後の子どもたちのことをまず1番に考え、その答の結論が『絶対に定時制高校はなくてはならない学校』なのです」と言い切っています。
 私たちは、重原さんのメールをぜひ、神奈川県の人、いや全国の人に知ってもらいたくて、彼にメールの公開をお願いしました。快く承諾を得られましたので、以下に重原健二さんのメールを紹介します。

 今、埼玉県でも、現在33校ある定時制高校を、「ここ何年間で統廃合をし、巨大な単位制高校(パレットスクール)を各地域、均等に開設する」という計画案が教育委員会より発表されました。

 私たち卒業生は、驚きました。だって卒業生の多くは、この学校のおかげで「今の自分がいる。」とか「生きる希望をもらった。」とか「本当の自分を取り戻すことができた。」という人が本当にたくさんいるんですもん。

 実際、私もそうでした。中学校の「あの軍隊のような、やさしさのかけらもない、恐ろしい組織」のせいで、人間不信になり、家庭内暴力で家族を傷つけ、また外では犯罪を犯して、何の罪悪感も感じない冷酷な少年になり、とうとう少年鑑別所まで行ってしまった僕に、「待った!」をかけてくれたのが定時制高校でした。

 君は一人ではないよ。みんな仲間だよ。そんなことを先生は、ニコッとした顔で言ってくれました。なんか背中にしょっていた重い荷物をやっとおろすことができた。そんな感じでした。本当に暖かったてす。その後、僕は学校で色々なことを学びました。行事などで、今までまったく違う環境にいた人たちと一緒に何か作ったり、大嫌いだった勉強にも挑戦しました。卒業まじかには、簿記の検定試験1級を満点合格してしまうほど勉強が好きになっていました。ホントに僕にとってこの定時制高校は生まれ変わった場所です。

  私が今、一番悲しいのは、競争競争のこの社会で、競争に勝つためには?なんてことをこともたちは小さいころから、親や先生に教わり、かったものは優等生。負けるものなら誰もが落ちこぼれ扱い。こんな勝ち負けの社会で、大人は、子供たちの純粋なやさしさや、思いやりといった暖かい気持ちを押しつぶし、もっと計算高くなれ!なんていい聞かす。こんな教育環境がどんどん増えていっていることです。こんなんじゃダメだ。だって、現に今、少年犯罪や不登校、こんなことが問題になっているではありませんか。!

 もっと子供たちがのびのびと生きていける場所がなくては絶対いけないと思います。またその場所は必ず「学校」です。家庭でも、塾でもない。学校です。学校じゃなければダメなんです。


 今僕たちは、いろいろな活動をしています。現役の生徒、先生、保護者、卒業生、みんなで力を合わせて県に訴えをかけています。また、自分たち自身も、もう一度「定時制高校のいいところ」を再確認しています。また、先々月、県の改革室の人達と話しました。涙ながらに自分の子供のことを「定時制にきて、私の子は立ち直ることができた。」と話す保護者がいて、また、「僕みたいに勉強できない人は、どこの学校に行けばいいんだ?」と訴える生徒。「職場を申し訳なく5時に切り上げて、学校へ通う気持ちがあなたたちにはわかるのか?」と卒業生。いろんな発言がとびかいました。しかし、県の改革室長は「あなた方たちの、ある一部のノスタルジー的な考えだけでは教育は変わらない。定時制高校へ通っていない子のことも考えて欲しい。」などと批判されました。こんなひどい人が教育社会で、しかも上に立っている人なんだと思うとぞっとします。私たちは今後の子供たちのことをまず1番に考え、その答えの結論が「絶対に定時制高校はなくてはならない学校」なのです。それをこの改革室長は、まったく理解できていないのです。本当に恐ろしいです。


 今日僕は、ホームページを見て、他県でも埼玉県と同じ、いやもっとひどいことが起こっている。事を今初めて知りました。がんばりましょう。がんばってこのずさんな教育社会を変えていきましょう。
 子供たちは幸せになる権利があるのですから・・・・・。

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