2005年7月30日

 7月13日、神奈川県公私立高等学校協議会において、県内教育関係5団体を代表して陳述された意見表明を以下に資料として紹介します




7.13公私立高等学校協議会意見表明

神奈川県教育運動連絡センター事務局長 加藤 誠



 発言の機会をいただきまして、感謝申し上げます。5団体(4月22日要請書を提出した5団体)を代表いたしまして加藤が発言させていただきます。

 私たちは、子どもたちが明るい希望を抱いて社会に巣立つことができるように、希望するすべての子どもたちに高校教育を保障するよう求めて要望を重ねてまいりました。
 しかし、残念ながら進学を断念させられる子どもたちが毎年多数でております。

 02年度入試では、高倍率のため、入試途中で定時制の定員拡大、合格枠拡大あわせて354人増の緊急措置をとりましたが、13人の不合格者をだし、04年度入試でも、定時制の3次募集をふくめて183人の緊急増、05年度入試でも165人の緊急増をはかりましたが、高校受験しながら進路未定のまま卒業した子どもたちが76人、55人とでています。これ以外に途中で諦めた大勢の子どもたちがいることも見ておく必要があります。こうした子どもたちが、「無業者」のまま、毎年1000人前後、卒業しています。

 一方県内私学では、入学者が毎年、2000人以上下回り、公立の後期選抜で7600人を超える不合格者がでても、私学には志願できずに、定時制に集中し、定時制の高倍率の原因となっております。

 資料1−@をご覧ください。1994年以降、私学に空があっても希望できない子どもたちが毎年2000人前後おって、それが神奈川の全日制の進学率を押し下げ、定時制の高倍率と不本意入学を生んでいるいることがうかがわれます。その結果、資料2に示すように、04年度の通信制を除いた高等学校等進学率が95.1%で、東京、千葉、埼玉より1.6〜1.8%低く、愛知についで全国2番目の低さとなっています。また、不登校など他県より多くの子どもたちが100万円を超える費用を負担して通信制連携校に通学していることもわかります。今年、通信制を除いた進学率が94.4%、全日制の進学率が90.0%に下がっているようで、これは30年前の水準に下がってしまったことになります。

 国連からも勧告されている「子どもたちの学ぶ権利」を保障するためには、子どもたちが私学に進める条件を整えるとともに、公立全日制の定員を増やして、全日制の希望者は全日制で学べる定員を準備する必要があります。また、入試直前には定時制を第1希望にしている子どもも少なくございません。

 資料3をご覧ください。県の暮らしむき調査です。各市とも受験生をもつ40代の半数前後が暮らしむきが「苦しくなった」と答え、その理由の第1が「収入が減った」、第2が「教育費が増えた」と答えています。

 94年ごろまでは、公立を受験して不合格になった人の多くが併願している私学に進学しました。しかし、不況、リストラ、不安定雇用、所得格差の拡大などが家計を悪化させ、併願をあきらめる子、併願校に手続きをとれない子が増えています。

 対策としまして、
@全国最下位の私学助成を全国平均まで大幅に引き上げ、私学の学費を大幅に引き下げるとともに、私学生への直接学費補助、高校入学支援金補助を制度化して、希望者が私学にも進学できる条件整備を早急にはかる必要があります。1万円増額した私立高校生への奨学金の返還免除条件を緩和することも大事です。

A私学の計画と実績の乖離の改善に一定の時間を要することも考え、全日制高校への進学率(計画進学率)を95%以上に引き上げ、公立高校全日制の定員を大幅に増やして定員計画を立てる必要があります。子どもたちを私学設置者と公立設置者間の問題の犠牲にすることは絶対に許されません。子どもにとっては、一生に一度の受験です。進路希望調査で、全日制高校への進学希望率が下がっているのは、受験の厳しさの反映であり、鶴見では、「何としても公立でなければ」と中学校1校で20人も定時制を受験した例もあり、克服すべき課題です。

B公立中学校卒業生数が、06年で最低となって以降増加に転じることが明らかになり、その人数が再編計画策定の推計より5,000人多く推移すると修正されました。その人数は、高校20校前後の募集人員に相当します。したがって、当初計画の25〜30校削減する根拠がなくなるばかりか、高校不足の事態となってくることが明らかであります。11校削減の後期計画を中止すべきと考えます。

C入試について述べる時間がございませんが、資料4に示してございますので、ご検討願います。指導する学校も、子どもたちの親たちも、改革すれば改革するほど複雑でわかりにくくなる入試を実感しています。是非、抜本的改善をお願いしまして私の訴えを終わります。ありがとうございました。よろしくお願いします。

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