2009年3月3日

2009年2月23日

神奈川県議会議長 榎本 与助 様

経済不況から中学校卒業生の高校進学を守る緊急措置についての請願

             

かながわ定時制・通信制・高校教育を考える懇談会

代表 加藤 誠


請願項目

 09年度入試で、経済不況、家計の悪化が中学卒業生の進路を直撃しています。希望する子どもたちが高校に進学できるように、十分な条件整備をしてください。全日制・定時制を希望する子どもたちが、全日制高校、定時制高校におさまるように緊急措置をとってください。

 さらなる経済状況の悪化が予想される来年度入試に向けては、抜本的な進学環境の整備をお願いします。

請願趣旨

 経済不況による家庭の経済困難が子どもたちを直撃しています。公立の7倍の学費(初年度納付金平均85万円)を要する私立高校に志願できない子どもたちが公立高校に集中し、公立高校の倍率が急上昇しています。(04年度1.38倍、05年度1.41 倍、06年度1.39倍、07年度1.39倍、08年度1.38倍、09年度1.45倍)

 2月27日の後期選抜合格発表では、全日制で8,292人、定時制で224人、合計8,516人の不合格者がでる(2月19日受検時現在)と予想されます。私立高校との併願者が08年度と同じように私立高校に抜けたとしても、08年度より約1,700人も多くの子どもたちが定時制の3月後期選抜にまわることになります。実際は、家計悪化から私立高校に行けない子どもの増加によってこれ以上の人数になると想定されます。

 09年度の定時制の定員は08年度と同じです。08年度の定時制の3月後期選抜の余裕(欠員)は約300人でした。そのなかには地理的に通学困難な学校もふくまれています。したがって少なく見ても1,400人以上が行き場を失う計算になります。

 通信制の定員でも追いつきません。しかも、通信制は自分で学習する力のある子どもでないと難しい学習システムです。学習の遅れがちな子どもやいろいろな困難をかかえる子どもは全日制や定時制できめ細かな指導を受けられるようにする必要があります。今年度は、後期選抜で定時制と通信制の志願変更が相互にできるように変更されていますが、自ら通信制を希望する子ども以外は、全日制・定時制の定員不足から通信制に追いやるようなことはすべきではありません。

 このままでは行き場のない子が大勢でることになります。これは今年だけの問題ではありません。希望する子が私立高校にいけるように私立高校生徒学費補助を大幅に増額する、公立の合格枠拡大や定員増など十分に進学の環境を整備して、子どもたちが安心して勉学に励める神奈川としてください。経済格差の拡大・貧困家庭の増大から子どもたちを守る手だてを講じてください。

 県は、県立高校改革推進計画(1999.11)で、「計画進学率は、現在、93.5%としていますが、全日制の高校への進学希望等を考慮し、今後も段階的に引き上げていきます。  (平成12年度は、94%にします。)」としていました。これは、「県立高校将来構想検討協議会」で時間をかけて論議し、県民討論や県民意見も募って、10カ年計画として決めたものです。いつの間にかこれは棚上げされ、高校25校削減だけが一人歩きして、希望しても高校進学をはたせない子どもたちが毎年大勢でているなど、県民には納得できません。抜本的見直しが必要と考えます。

 これは、神奈川の子どもたちが、自分の将来に夢をえがけない深刻な状況に追い込まれている実態を示しています。子どもたちの“心の荒れ”の大きな原因であり、神奈川が校内暴力、不登校が全国最悪となっている最大の原因の一つと考えられます。公私立高等学校設置者会議などでの定員計画が検討された経過には、「100年に一度」といわれるような深刻な経済困難などは予想されていません。新たな条件として再検討がもとめられています。

以上

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