2004年11月26日

 「かながわ定時制教育を考える会」の『ニュース82号』(11月11日発行)に掲載された、県立定時制の保護者の方の投稿を以下に紹介します。


弱い立場の子どもにも学びの保障を 

県立定時制高校 保護者


 私は我が子の不登校をきっかけに同じ悩みをもつ親同士で7年前に親の会を作りました。特に、最近は高校受験を希望する場合が多く、親たちは悪戦苦闘しています。内申点がないため、公立全日制を希望しても無理と言われ、私立を探しても年間100万円程度の学費がかかることを考えると二の足を踏んでしまったり、また不登校だと言うと受け入れを渋られることもあり、不合格になってしまった子もいます。

 過年度生で長く苦しいトンネルを抜け、「自分に必要なものは同年代の友とのふれ合いだ、どうしても全日制に行きたい」と、やっと希望を口に出すことのできた子に開かれた扉はなく、結局民間のサポート校に入学し、校庭もない悪条件の施設で年間150万円の学費を払っている仲間もいます。「初年度は何とか払えても、来年以降はお先真っ暗だわ」と嘆きながら。もちろん助成金や奨学金など一切ありません。転職や給与削減で年間100万も減給になり、フリースクール代のため、フルタイムの仕事をせざる得なくなった母親もいます。

 そして、今春は前期試験で唯一希望した県立の定時制を不合格になってしまった子も出ました。この子は本当に傷つき、自分をすべて否定されたような心持ちに陥り、傷を癒せないまま今日に至っています。

 私の住む南部学区では、前期の再編でいわゆる底辺校の2校がなくなり、不本意に私立に進学したものの退学や休学をしたり、またつまらなさで周辺にたむろしている子がたくさんいます。そのうえ、今度の後期計画でまた1校減らされようとしています。地域で行かれる高校はほとんどなくなり、高い運賃と時間をかけて通学せざるを得なくなりそうです。

 いったい、公教育とは何なのでしょうか。大人が利益優先で子どもから学びとふれ合いの場を奪い取っていくことなど、許されることなのでしょうか。
 すべての子に教育の機会均等と公的保障を、そして苦しんでいる多くの子に、行政や大人たちのより厚い手助けを願ってやみません。

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