1999年10月12日
「学校適正規模は18学級720名以上」(県立高校削減理由)は根拠なし
「県立高校再編統廃合計画案」は、学校全体で18学級から24学級(1学年6から8学級)、720名から960名が学校の適正な規模であると強調している。
生徒数が720名以下になると、「学校行事や生徒間の交流などの面で、活気がとぼしくなる」「部活動では、部員や顧問が不足し、活力ある活動ができなくなる」「教員一人あたりの校務分掌が多くなり、学校運営に支障が生じることがある」などという影響が現れ、問題であるというわけである。だから、今後中学卒業者数が減少していくので、適正な規模を維持するために高校の削減が必要であると理由づけている。はたして本当にそうなのだろうか。
雑誌「ひと」や『学び その死と再生』等において、学校と教育の再生を提唱している佐藤学氏は、次のように具体的な事実を示して、学校の小規模化を訴えている。
「これまで1000校以上の学校を調査してきたが、1人ひとりにゆきとどいた質の高い教育や・・・生きいきとした授業と学びは、ほとんどの場合、小規模の学校で実現していた」
「公立中学校の校内暴力の生徒一人あたりの発生件数を比較すると、6学級(1学年2学級)以下の中学では、対教師暴力で0.6%、対生徒暴力で0.7%であるのに対して、31学級(1学年10学級程度)以上では、対教師暴力で10.6%、対生徒暴力で7.4%というように、10倍以上に激増している。いじめや暴力やそれへの対応として強化される管理教育など、今日の学校の病理の多くが、学校規模を縮小するだけで解決に近づける問題なのである」
「学校規模の問題にしても『小さな共同体』を学校の基本型として設定すれば、今のような乱暴な統廃合計画は推進されないはずである。」(以上、『ひと』1997年7月号)
佐藤氏の数多くの学校調査にもとづく「一人ひとりにゆきとどいた質の高い教育」「生きいきとした授業と学び」の指摘はきわめて説得的である。また、「計画案」が、もう一つあげている小規模化の影響(多様な教科・科目の展開が困難となる)については、県単独で専任教員を配置したり、非常勤講師を増やして対応すれば問題なく解決する影響である。
以上のことだけ見ても、今回の「県立高校14校削減計画」は、まったく根拠がない計画であり、いったん白紙に戻し、根本的に再検討することが必要である。
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