1999年6月30日

県立高校30校削減計画   今のままでは、県立高校の大リストラとなる!


     県立高校の大削減ではなく、希望者全入と30人学級の実現を


  県教委は6月22日、2000年度から10年間をかけて県立高校を25〜30校削減する計画を明らかにした。新規中卒者の数が2006年にはピーク時の半分ほどの6万2千人に減少することが予想されるので県立高校の数を減らすというわけである。  しかし、不況が深刻化し、県民所得が減少するなかで、こんなに県立高校をなくしてしまうと、高校へ行けなくなる子が、今以上に増えるのではないのかという不安と懸念が県民の間に広がっている。

   県教委は、「進学機会は狭まらない」と根拠のない、机上の計画を示すのみ

  県教委は、ことあるごとに「進学機会が狭まるということはない」と強調する。しかし、これは全くの口約束で、その保障はない。1993年からの全日制の計画進学率とその実績をみてみると、以下のように計画通りには進学機会は広がっていないのである。  98年度の実績進学率である91.9%は、93年度の91.8%とほとんど変わっていない。計画進学率を2%上げても、実際の進学率は0.1%しか上昇していない。これは、県立高校の枠を確保してあるのにそこに進学してこないということではなく、県立高校の枠が少ないために生じている事態である。

  年     度       1993年度 1994年度 1995年度 1996年度 1997年度 1998年度
  進  学  率 計画  91.0  92.0  92.0  92.5  93.0  93.0
     (%) 実績  91.8  91.6  91.0  90.7  92.3  91.9


    県立高校削減で、高校へ行けない子が、今以上に増えるのではないか

  97年度の公立中学卒業者の進路希望調査では、県立高校を含む県内公立高校希望が83.0%であったのに、実際に公立高校に進学できたのは63.8%にすぎず、約20%もの子どもたちが希望変更を余儀なくされている。さらに、公立や私立に関わらず全日制高校への進学希望者は94.3%であるのに、実際に入学できたのは、91.8%にすぎず、約1870人の子どもたちが全日制高校に入れなかった。

  99年度の入試に関しても、川崎地区で約900名の子が全日制を不合格となった。定時制についても、全県で約80〜100名の不合格者を出さざる得ない事態になっている今、なぜ県立高校の大削減なのか。「岡崎知事が革新県政から引き継いだ体制の見直しに本腰を入れ始めた」(朝日新聞)、「新タイプ校拡充で普通科が改変される分だけ進学機会の減少を招くのではないかといった懸念もでている」(神奈川新聞)という各紙の指摘を見てもわかるように、今回の県立高校再編・削減計画は県民の十分な理解を得ていない。

    県立高校削減ではなく、希望者全入と30人学級こそ県民の願い

  県教委は、県立高校削減とともに新タイプ校を20数校設置する計画を明らかにしている。この新タイプ校の中には、中高一貫のモデル校やフレキシブルスクール(前号で問題点を指摘)などきわめて問題の多い高校が含まれている。しかし、こうした高校の設置が本当に県民の要求なのかということについては、疑問と反対の声が多い。

  中学卒業者数が減少するこの時期こそ、施設・設備、教職員数などの面で、その気になれば全日制希望者は全日制への、定通制希望者は定通制への進学を保障できる絶好の機会である。今、教育行政に求められているのは、県立高校の削減やフレキシブルスクールの設置などではなく、高校への希望者全入と30人学級(定時制は25人学級)の実現である。

  したがって、県教委が8月にも提出しようとしている県立高校再編・削減計画については、根本的な見直しが必要である。県教委が意図している1ヶ月ほどのアリバイ的なフォーラム(県民の意見を聞く会)ではなく、多くの県民が参加したもとでの、十分期間をもうけた論議の保障を強く要求するものである。

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