2008年3月20日



今度は入試の「異常事態」が通信制にまで拡大
ただちに「公立全日制入試枠の拡大」と「前期・後期入試」の見直しを


修悠館(通信制単独校)の教職員定数確保と予算確保は『まったなし』



 2月4日、公立高校入試の前期試験の合格発表がおこなわれた。今年4月に発足する横浜修悠館高校(通信制単独校)では、「前期募集定数の625人を133人上回る758人を合格」と発表した。

 募集定数を決めている入学試験で、定員を大幅に超えて合格者を出すのはきわめて異例である。しかし、神奈川の定時制の後期試験では同様の措置が2002年以来2007年春の入試まで5回もおこなわれる「異常事態」が続いていた。2000年から始まった高校改革による全日制の統廃合(25校廃校)と、県知事と私学側との「公立6割、私学その他4割」の「公私合意」にもとづく全日制募集定数の抑制策の結果、全日制進学率は全国最低の89.3%(2007年)にまで低下。全日制から「あふれる」生徒が定時制に殺到するようになった。

 県はみずから決めた「入試のルール」を変更し、定時制志願者のほとんどの受け入れを各学校に「要請」する「異常事態」が続いた。これが今回は通信制にまで広がっている。

 性懲りもなく、「6回目の異常事態」を通信制で招いたのには理由がある。11月24日、「横浜修悠館高校を考える集い」が開かれた。県教委高校教育課からも課長代理が出席し、「平日昼間登校できる」修悠館高校の特徴などについて説明がおこなわれた。保護者からは「修悠館には多くの志顧者が集まるようだが今までの通信制のように希望者が入れるのか心配」との疑問が出たが、「いままでの通信制では定員よりかなり少ない志願者しか集まっていないから心配ない」と答えている。

   

<資料 1>

   修悠館での学習

・みなさんの、さまざまな学習希望に応える弾力的できめ細かな学習を展開します。

・毎日登校し、きめ細かな学習指導を受けることができます。

・インターネットなどのIT環境を通して登校しないで学ぶ機会を増やすことができます。

・基礎・基本を着実に学ぶことをはじめ、国際や情報、社会や暮らしに役立つ学習がで
きます。(県教委HPより)



ちぐはぐな県教委の施策 一 県は自らの行為に責任を持て 

 県教委では、新設校の立ち上げは高校教育課教育事業担当、入試は高校教育課高校教育企画室、教職員人事は教職員課、予算や施設は教育財務課とそれぞれ担当が分かれている。

 本来、組織が新しいことを行うときは、それぞれの分担された分野の仕事を互いに調整し合ってから内容を固めて行うのが当然である。しかし、立ち上げの担当はホームページや説明会などで「毎日登校できる」通信制高校との大量宣伝(資料1)をおこないながら、入試の担当は従来の通信制高校のイメージを根拠に入試計画を立てている。以前なら、現場の責任者である校長が県にかけあって調整し、収めるという調整機能が働いていたが、「校長支店長論」が幅をきかす中で、もはやこの機能も失われている。泣きを見ているのは、入学を希望する生徒・保護者たちと混乱を受け入れざるを得ない学校現場である。


4月開校の修悠館に、人とカネの保障を    県は「新機軸」をあきらめ、基本条件の整備に集中せよ

 2月末に学校見学をした保護者の話では、「前期試験受験者の8割が『平日登校指導』を希望」、「2年生以上の在校生の『平日登校指導』は1割」、「職員が足りない部分は地域ボランティア、保護者ボランティアの協力を考えている」と説明されたという。

 また、湘南通信や平沼通信の現場からは、「県は従来の定数(平沼24人+湘南28人)に10人ぐらいの加配しか考えていないのではないか」との声も聞かれる。『平日登校指導希望が8割』という状況に対して県の『当初見込み』は「3割程度」であったとも聞いている。

 学校案内や「新校だより」(地域向け)、「中学通信」を見ると、従来の通信制に加え、「インターネットを通じたIT学習」、毎目登校して‥学習指導」などの多様な学習形態を看板にし、さらに地域との協働(地域ボランティアや部活動など)など新たな取り組みをこれでもかというほど取り込んでPRにつとめている。これらの内容の中には「実現は無理」との現場教職員の意見を無視して進められているものも多いと聞く。

 しかし、県のHPや学校説明会に期待し、修悠館に集まった多くの生徒たちがいる。この期待を裏切ることは許されない。学校現場、保護者の要求にもとづく教育条件整備は「まったなし」である。県はこれまでの「誇大宣伝」を謝罪するとともに、あれこれ実現不可能な「新機軸」を整理し、生徒・保護者県民に現状を明らかにして「平日登校」や「サポート体制(きめ細かな指導)」(資料2)などの生徒保護者の切実な要求にもとづいた教育条件整備に集中すべきである。

<資料 2> 横浜修悠館高校への興味
  
ア 平日登校講座 262
イ  IT講座 150
ウ 日曜スクーリング 31
エ 多彩な科目 121
オ 時間割 227
カ 就業体験 63
キ キャリア教育 40
ク 遠足・旅行 60
ケ 文化祭・体育祭 60
コ  IT・携帯情報 66
サ 部活動 74
シ 進路保障 87
ス サポート体制 146
セ 入学者選抜 108
ソ その他 8
タ 特になし 8

(学校説明会でのアンケート結果 県教委ホームページより)

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