2007年4月14日
2007年4月7日
07年度県立高校入試 あふれかえる定時制新入生 「生徒がかわいそうだ!!」
その場しのぎの松沢知事と県教委の無責任な姿勢
4月なのに、「先生よこさない」 「時間割組めない」 「クラス担任は臨時任用教諭」
唖然とするとは、まさにこのことだろう。2000年「県立高校『再編』計画」発足以来、夜間定時制に全日制不合格者が殺到し、その都度、県教委は入試制度の公平性を崩し、定数を大幅に超えた受入れで定数策定の「過ち」を糊塗してきたが、この春で5度目である。もちろん、全日制への進学率を下げる策定をしてきた松沢知事と県教委にその責任がある。さらにその「ツケ」に苦しむ現場の教育条件改善さえもこれまで通り放置している。つまり、この二者は原因と結果の双方に責任をとろうとしていない。両者の「存在」が問われかねない現場実態をここに報告する。
1.後期志願者の大半は本来全日制希望者 大量入学者に時間割も組めない
A高校定時制の直面した、この春の入試の状況は次の通りである。
前期入試の募集人員が70人のところに、123人が志願、121人が受検(欠席2人)、70人(辞退2人)が合格した。51人の不合格者を出す。
後期入試では、72人の募集人員に対し、121人が志願する。18人が志願変更したものの、102名が受検(欠席1人)した。合格枠が急遽拡大され、26人を追加合格して、98人が合格。
後期入試の選抜会議では、泣く泣く志願変更していった10数人の子どもたちのためにも後期入試をやり直すか、せめて定員枠でいったん締め切り、新たに2次募集を行うべきだと主張したが、学校長の「日程の都合がつかない」の一言で、この主張は拒否された。横浜、川崎の不合格者を救うため2次募集を行う学校があるにも関わらず、学校長は県の意向に添って拒否したのである。
後期志願変更後の合格定員変更と、志願変更後の入試の公平性を無視した「全員受け入れ」の指示は、全日制2次募集で17倍の競争率にも手を打たなかったことに比べると、あまりにもひどい定時制入試を軽んじた学校差別・人格無視である(A高校定時制の後期受検者の約半数にあたる50名は全日制希望者であった)。
この会議で出た主な意見は以下のようである。 「受検生を同情的にr『全員受入れ』するのは、募集計画を策定した県幹部の責任を不明確にする」 「5回の過ちは県幹部が確信犯である証しで、この手法で在任中の責任の顕在化を逃れている」 「謝罪が一度もない。経過説明し、生徒、保護者をはじめ、県民全体に謝罪の記者会見をすべきだ」 「定時制でできる募集拡大をなぜ全日制でできないのか。後期志扱者の6割近くがもともと全日制希望だ」 「学力で全日制で十分やっていける生徒がかなりいる」 「定時制では12クラスが教育対応の限界だ」等々。
こうして過去数年にわたり、クラス増を余儀なくされてきたA高校定時制は、ついに全学年17クラス規模となり、定時制教育の場としては限界を超えることになる。そもそもホームルーム教室がもうないのだ。定時制生徒が立ち入ることのなかった4階や1階を使用することになると、単年度限りの緊急措置では済まされない指導上問題が発生する。結局、唯一残っていた別棟のVTR教室を改装して充てたが、展開授業や視聴覚教材の使用制限についての妙案はない。
人的補充については、県教委はさらに無責任である。当然の増員要求にもかかわらず、逆に1名減員にされてしまった。専任3名の転出者に対して2名の転任者と再任用教諭1名が充てられたが、残り専任教諭1名分の「くだき」(非常勤講師担当分20時間として換算、転用)、また、別に非常勤講師時間数30時間の要求への回答も、四月・新学期に入ってもない。
このため学校経営1年間の中心である「時間割」も組めない状況だ。仕方なく四月の予定を大幅に変更、2週間の面談期間を設けてから、授業開始という苦肉の策を取ることにしている。現場の教職員と生徒たちにこの大混乱と不利益を押しつける松沢知事と県教育委員会の責任を今こそ問わないわけにはいかない。
2.1年の担任の半分は新任者と臨任者 特色の選択制も発揮できない事態
B高校定時制は2年前に校名を変え開校した、普通科の単位制定時制。40年はど前に建てられた校舎をこの数年かけて改修中である。B校の、この春の入試状況は次の通りである。
前期入試の募集人員52人のところへ、116人が志願・受検。56人合格(1名辞退)。 60人の不合格者を出す。後期入試では、本来53人募集のところへ大量の応募があったため、急遽入学定員が2クラス70人分が増やされ、123人募集となる。そこへ、160人の志願があり、155人受検。さらに、大量の不合格者が出るということで、またしても急遽合格枠が31人分拡大され、結局なんと154人(1名辞退)の合格となる。
B校定時制は、募集定数105名(3クラス規模)が、後期の「想定外の」高競争率に県教委は急遽、募集枠、合格枠を拡大し、予定の倍、6クラス分210人を合格とした。
これで新1年のクラス数は昨年の4から8に増え(校内措置で、1学級の生徒数が多くならないようにクラス数を増やしている)、全学年クラス数は昨年度13から6増の19クラスに増えてしまった。このため、新年度発足の態勢がとれない混乱に陥っている。この19は、専任教諭数(総括教諭を含む)と同数である。これでは職員室に常に専任教諭が誰もいないことになりかねず、尋常ではない。
もちろん、「増員要請された」県教委がこの臨時的拡大に応じた人的補充や諸条件の整備を計ると考えるのが常識だろうが、新年度を迎え、6日の入学式を終えた時点でもそれは見えない。「私の判断で(合格者増を)受け入れる」と、県教委に「要請され」、断言したはずの学校長が、県教委に上申した増員4名と40時間足らずの非常勤講師時間数の要求も、県の対応がはっきりせず、両者の確執が強まっているという。目途が立たない上に専任の予定が再任用教諭、臨時任用教諭のつもりが非常勤講師を充てられたりで、現在も新年度の「時間割」も組めず、校務分掌も現員分だけの決定。さらに抱える難問は、補充人員が来ては困ることがある!?それは職長室が手狭になり入り切らなくなるから!!学校長は「(補充人員が)来るものとして準備していてくれ」と指示しているということだが・・・・・・。
それでも、さすがに新1年8クラスの担任は決められたが、その半数は転任の専任教諭1名と臨時任用教諭3名を充てたという。因みに3名の方の身分は、3月下旬で一年雇用の契約切れを迎えるのだが、この時点で3クラスの生徒たちの担任は「消えて」しまうのだろうか。総括教諭や校務分掌、単位制、入試等の主任と実習教員が副担任を務めるという。
施設・設備の面でも問題は多い。全クラス数が19となった結果、他課程との併用教室も不足する事態である。これは単位修得がすすまず、卒業できない生徒が増加しつつある現状と相俊って、2,3年先にはクラス不足が加速し、「考えるとゾッとする」とは現場の声である。
因みに、大量合格で、単位制課程の眼目である「履修科目の選択による個性の伸長」も「選択の指定」?となるという。さらに、増加した生徒分のロッカーはどうするのか?準備できたとしても、定数規模のスペースで、置き場がないとのこと。
これまで給食は任意制だったが、新年度から食生活指導の点から全員制に移そうと話し合ってていた矢先、大人数が25分の給食時間で喫食できるかに疑問が出てきて、中止の方向という。
これらが、5度目の大混乱に直面させられている定時制の現状である。