2006年3月3日


定時制のよさを発揮するため35人学級を40人に戻してはならない


02,04,05,06年に続き5度目の非常事態となれば、公立全日制枠拡大に取り組まない松沢知事に責任


 神奈川県公立高校の前期入試が終った。定時制についての結果は下表のとおりである。ほとんどの学校で受験者数が募集定員を上回った(定員内は31校(学科)中8校(学科)。昨年は32中15。どちらも夜間定時制のみ)。受検者総数は1940人(昨年1976人)、合格者総数は1170人(同1245人)、不合格者総数は770人(同731人)であった。受検者総数は昨年比微減、不合格者総数は定員減のため微増である。


前期選抜の募集率の上限(50%)を、定時制だけでも引き上げよ

 3年連続で700人を超える受検生が定時制前期選抜で不合格とされた。定時制を第一志望とする受検者を不合格にして全日制に入れなかった受検者に席をあけておくことに、多くの定時制関係者は疑問をもっているのではないだろうか。
 また特に定時制では、不合格によって大きなダメージを受ける受検者も多い。
 定時制だけでも50%という上限を引き上げる(またはなくす)ことを再び強く求める。


定時制前期選抜 状況(夜間定時制のみ。総計は全定時制)

07年度入試 06年度入試
高校名 前期定員 面接者数 合格者数 不合格者 前期定員 面接者数 合格者数 不合格者数
 横浜翠嵐 52 65 52 13 60 79 60 19
 希望ヶ丘 70 120 70 50 80 125 80 45
 横須賀 35 37 35 40 38 38
 追浜 35 42 35 40 41 40
 湘南 70 88 70 18 80 117 81 36
 茅ヶ崎 52 45 45 60 66 60
 大秦野  17 19 18 20 14 14
 伊勢原 17 41 18 24 20 43 20 23
 津久井 35 13 13 40 27 27
 県立川崎 52 103 53 50 60 120 61 50
 小田原 35 29 29 40 36 36
 厚木清南 52 116 57 59 60 99 60 39
 戸塚 56 82 56 26 64 98 67 31
 市立川崎 35 47 35 12 40 36 36
 橘(3年制) 17 25 17 20 30 20 10
 橘(4年制) 17 18 17 20 10 10
 高津 52 61 52 60 90 60 30
 川崎商(普通科) 17 16 16 20 17 17
 平塚商(普通科) 廃科 20 34 20 14
 神工(機械科) 35 35 35 40 33 33
 神工(建設科) 17 19 17 20 17 17
 神工(電気科) 17 20 19 20 12 12
 城北工 17 15 15 20 17 17
 総合科学(電) 17 16 16 20 15 15
 総合科学(機) 17 16 16 20
 磯子工(機) 廃科 24 23 23
 向の岡工(機・電・建) 廃科 40 21 21
 川崎商(商業科) 17 22 17 20 31 20 11
 平塚商(商業科) 廃科 20 23 20
 磯子工(総合学科) 35 42 35
向の岡工(総合学科) 35 37 35
 平塚商(総合学科) 35 59 35 24
 総合産業 35 76 35 41 40 83 40 43
 横浜総合(V部) 52 99 52 47 52 118 52 66
 横須賀総合 35 80 35 45 35 88 35 53
総 計 1201 1940 1170 770 1339 1976 1245 731


5たび非常事態となれば、公立全日制枠拡大に取り組まない松沢知事に責任

 このあとの、後期・二次はどうなるだろうか。県教委は「全く読めない」などと無責任な発言をしていると聞くが、私たちは、残念だが、5度目の非常事態になる(全日制の大量の不合格者が定時制の後期・二次に殺到する)と予想せざるをえない。

 なぜなら、昨年、知事主宰の「公私立高等学校設置者会議」で決めた2007年度の公立高校の入学定員(39,300人)は、中卒予定者の60.6%に過ぎず、この数字は、非常事態が引き起こされた2002年および2004年と同水準でしかないからだ(下表参照)。校長会の代表でさえ、2001年の水準62.0%とすることを求めたのだが。

 知事側は、私学生徒への学費補助等の効果による私立全日制への入学者増を期待しているのだが、この程度の補助では、その効果が定時制の非常事態解消に結びつくとは考えにくい。私たちが主張し続けているように、中卒者の希望(約8割が公立全日制希望)に沿って,公立全日制の枠を大幅に引き上げるしかないのである。

 知事は、公立全日制枠拡大に全く消極的で、その結果、全日制進学率を全国最低水準(昨年89.6%)に低下させ、定時制の非常事態を深刻化させた。5たび非常事態となれば、その責任が厳しく問われなければならない。

定時制35人学級を40人に戻してはならない

 しかし、非常事態になっても、昨年10月県教委が決定した定時制の学級定員35人を40人に戻してはならない。引き続く非常事態により定時制の教育条件の劣悪さは極限に達しているからだ。教育条件の回復を願う関係者からの、入れればいいというものではないという声はその通りだ。
 非常事態になった場合は、募集停止した横浜市の定時制を緊急再開する(分校としてでもよい)など、責任を持って柔軟に解決策を見出すべきだ。

入試日程・回数についても再検討を

 また、今年の入試日程の改定により新たな問題が浮上した。定時制後期入試が全日制二次の発表の前日であること、定時制後期入試の選抜業務の日程が詰まりすぎていること、などである。
 定時制の後期選抜はなくして、前期と二次だけにしてもいいのではないだろうか。

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