2006年5月27日

  
  定時制への犠牲押しつけ(40人学級、学級増、91人もの合格枠拡大)にもかかわらず
  定時制二次募集で、66人もの不合格者(前年55人)

    責任とるべき者がとらず、ズルズルと02、04、05年に続き4度目の同じ過ち


知事に最大の責任、公立全日制の定員を大幅に増やせ


 06年度の高校入試は、02、04、05年度に引き続き非常事態となった。定時制への多大な犠牲の押しつけ(40人学級、学級増、91人もの合格枠拡大)にもかかわらず、定時制二次募集でも昨年を上回る66人(昨年は55人)もの不合格者という、受験生の進学保障をふみにじる結果となった(以下の表を参照)。

06年度定時制二次募集合格発表結果(06.3.24)

 地 区      高 校 名     合格数 不合格数 合格枠拡大 欠員数
横 浜  県立横浜翠嵐  38人 1人 +24人 −人
 県立希望ヶ丘 11 0 +7
 市立戸塚 31 19 +3
 県立神奈川工業   機械科  18 0 2
     同       電気科 15 0 1
     同       建設科 21 0
 県立磯子工業    機械科 34 0 1
川 崎  市立川崎  32 0 +5
 市立 橘(3年制) 7 0 1
   同  (4年制) 27 5 +2
 市立高津 20 4 +5
 市立商業  普通科 17 2
   同     商業科 8 5
 市立川崎総合科学  機械科  11 0 9
     同   電気科・電子科   10 0 12
 県立向の岡工業 機械・電気・建設科 25 1 20
三 浦  県立横須賀 21 8 +3
 県立追浜 29 0 +7
湘 南  県立湘南 16 6 +1
 県立茅ヶ崎 49 0 +9
 県立平塚商業  普通科 11 0 +3
    同       商業科 9 0 +1
県 北  県立大秦野 8 0
 県立津久井 14 0 31
 県立厚木清南 15 10 +9
 県立神奈川総合産業 16 4 +10
県 西  県立小田原城北工業 17 1 +2
 県立小田原 38 0 1
全  県  合  計 568人 66人 +91人 78人
 

 具体的には、横浜翠嵐高校では、本来の2学級70人の定員に対し、3学級120人募集とされた上、24人もの合格枠拡大のため、合格者数144人と2年連続で本来の定員の2倍を超えさせられた。希望ケ丘高校、湘南高校、神奈川工業高校は、これも連続して4学級160人募集の大規模化である。県立川崎高校では、従来1学級35人募集が3学級120人募集とされた。どの学校でも1年の学級にはこれに留年生が加わる。神奈川工業では、1年の4学級すべてが44人でスタートした。

今年の事態に対する最大の責任は知事に

 今年の非常事態に対する最大の責任は知事にある。松沢知事が主宰する「公私立高等学校設置者会議」は、昨年9月、今年度の県内公立高校全日制の入学定員を38,000人と決定した。これが今回の事態の元凶である。県教委でさえ、「定時制を混乱させない」ためには、38,919人の定員が必要と提案したのを抑えての決定であった。

 同時に、「私立高校等生徒学費補助金の充実」が提案されたが、私たちがニュース各号で予測した通り、これによって私学の入学者が増えて定時制の非常事態が解消されることはなかった。

  定時制の非常事態を解消し受験生の進学保障をするには、私たちがずっと主張してきた通り、公立全日制の定員を増やし中卒者の希望に近づけていくしかない。この状況の中で、後期再編計画に公立全日制の削減を盛り込むという旧態依然ぶりにはあいた口がふさがらない。
 

公立全日制の定員を増やすしかない

 下表にあるように、この間の非常事態は、中卒者の希望より私学の経営を優先して、公立全日制の枠を減らし私学枠を維持しようとしたが、不況・格差拡大等により私学枠を維持することができず、公立枠を減らした分だけ全日制進学率が下がり、定時制に不本意入学者があふれる、そういう状況に横浜市教委の夜間定時制5校中4校廃校の暴挙が加わって、招来したものである。

 今年の事態は、私学への入学者増を期待して問題を解決しようとする政策が、完全に破綻したことを示している。事態の解決には、公立全日制の定員を増やし中卒者の希望に近づけていくしかない。
 

定時制の良さが生かされる教育環境を

 こうした事態の中で、これまで評価されてきた、少人数で面倒見がよいなどの定時制の良さが失われかけている。私たちは、公立全日制の定員を増やし中卒者の希望に近づけていくことによって、定時制の良さが十分に発揮される環境が整えられ、不登校の子をはじめとして様々なハンディを抱えた生徒たちが、定時制で生き生きと学ぶことができるようになることを強く求める。

 97年   98年   99年   00年   01年   02年  03年  04年  05年  06年
@県内公立全日制希望者 65,478 64,865 64,110 62,415 59,453 56,262 56,148 55,514 52,192 51,130
A県内公立全日制受入枠 50,069 49,862 49,524 47,200 44,494 41,776 42,091 41,067 38,146 38,000
B県内公立全日制進学者 49,860 49,886 49,801 47,104 44,570 41,812 42,195 41,106 38,257
C県内私立全日制希望者 6,355 6,123 6,161 5,387 5,361 5,335 5,389 4,845 4,755 4,667
D県内私立全日制受入枠 18,000 18,000 18,000 17,500 17,400 17,300 16,700 16,700 16,100
E県内私立全日制進学者 17,188 16,022 15,544 15,740 15,060 14,654 14,653 14,626 13,529
F県内私立空枠(D−E) 812 1,978 2,456 1,760 2,340 2,646 2,047 2,074 2,571
G全日制計画進学率 93.0% 93.0% 93.5% 94.0% 94.0% 94.0% 94.0% 93.8% 93.5%
H全日制実績進学率 92.3% 91.9% 92.0% 91.8% 91.3% 90.1% 91.1% 90.7% 90.1%
I県内定時制希望者 249 283 299 344 321 580 414 642 799 951
J県内定時制進学者 1,443 1,844 1,953 2,017 1,975 2,331 2,095 2,383 2,670
K定時制二次不合格者 6 2 6 0 1 13 5 101 55 66

@CIは、毎年10月に中学3年生に対し県教委が行う調査による。

 ※新聞報道のように、5月11日に開かれた「神奈川県公私立高等学校協議会」で、県教委より、来春の入試から後期選抜試験では全日制と定時制との入試を別日程とするという提案がされて、了承された。これは、そこでの県教委の説明にもあったように、若干の改善にすぎず、定時制の非常事態解決には、公立全日制定員を大幅に増やすしかない。


トップ(ホーム)ページにもどる