2003年8月16日


4年間にわたる失政  その被害を被る定時制の現状は?


 私学「空枠」を温存し、公立全日制枠を不当に減らした定員計画・横浜市立定時制4校の募集停止−−→・大量の全日制不合格者の定時制への殺到一一−→・学級定員増、学級増による定時制の教育条件の悪化・不本意入学者激増− こうしたしわ寄せ4年目を迎えた定時制の現状はどうなっているだろうか。

1学級40人、1学年200人近くという大規模化は、もう限界

 1学級40人の学級規模、そして学級増による大規模校化。もう限界である。 1学年200人近く、全校では400人を超えるところも何校か出ている。1年生が本来の定員の2.5倍になった定時制さえある。そんな定時制現場の声を聞いてみよう。

・40人のあるクラスでは、約半数が勉強に興味を持たず、大声などでの授業妨害、立ち歩き、教室の出入りをくり返す。こうした生徒たち(従来はもう少し少なかった)にも少しずつ興味を持たせていくことができたのが、かつての定時制だったが、これほどの人数になるとお手上げだ。

・クラスがふえて、職員室から目の届きにくいフロアにも1年生の教室を作らざるをえず授業中に出歩き、廊下やトイレでたむろし、他の授業を妨書するという事態が起きている。

・多様な生徒たちがふえ、学校生活になじめない生徒たちが、駅周辺にコンビニ前にと日夜集まり、放課後はもとより授業中や登校時さらには昼間のうちからも苦情の電話がかかって、教員が現場へ出向く。

・コンビニのエスカレーターを急停止させる、改札を無断通過するなど、悪質な行為もふえている。

・全日制の定員減によりはじき出された、エネルギーを持て余している生徒のグループが3時ごろから登校してしまう。教室には入れず、全日制の部活動スペースの隙間を探してキャッチボールなどをして過ごしている。危険でもあり、生徒間のトラブルも心配される。

・全日制を希望していて学力はあるが、意欲をなくしている生徒と、基礎からやらなければならない生徒とのギャップが広がり、その点でもたいへん。

・今まで20才代や高年齢者が定時制の核になったが、当然そんな生徒の割合が減り、生徒内部の「力」が喪失してきている。

・外国籍等の日本語の理解が十分でない生徒がふえ、それに対する県の手当は不十分で、トラブルが起きている。
  

定時制教職員の労働条件を改善し 転勤希望をふやし、専任教職員の確保を

 このように限界に来ている状況に対する教育条件整備の不十分さも深刻である。

・クラス数が増えたのだから、その分、教員が増えるのは当然だが、今までの「加配」をなくされたので、条件は悪化している。

・増えた人は、全部、臨時任用の先生だった。

・クラス増に加え、再任用、非常勤の先生が多いため、卒業生を出して、すぐ1年の担任にならざるをえなかった。

・来年、定年退職になる先生が担任にならざるをえなかった。

 こうした現場の声のように、学級増に加え、定時制への転勤希望の激減による臨時任用、再任用、非常勤講師の増加が大きな問題になっている。

 この定時制への転勤希望激減の原因は、夜間勤務の大変さにふさわしい労働条件の改善がなされていないことに尽きる。自宅研修を認める、定時制手当を引き上げる措置などによって、定時制への転勤希望をふやし、指導の大変な定時制にこそ専任の教職員をきちんと確保すべきである。

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