2002年11月8日
定時制の学級増を「安全弁」として使うのでなく、
中卒者の希望にそって、公立全日制の入学定員をもっと増やすべき
県教委は、10月29日、来年度の公立高校の募集定員を発表した。実質進学率(今年度の全日制進学率は90.0%)を押し下げてきた一因である私学の空枠(初めに決められた入学定員から実際の入学者数を引いた数)を600人減らしたことをもとに、公立全日制の定員を334人増やした。同時に、県立定時制普通科5校(翠嵐、希望ケ丘、追浜、湘南、津久井)、横浜市立2校(戸塚、総合)に各1学級増を押しつける一方、横浜市立鶴見工業(2学級)を募集停止とした(公立定時制の定員、175人増)。
私学の空枠を減らし公立全日制の定員を増やすことは当然のことだが、空枠約2650人 (今年度)に対し600人の減、そして公立全日制334人の増では全く不十分である。こんな数では、来春も今春と同じ失態を繰り返す可能性がある。県教委も自信がないから定時制を「安全弁」に使ったのである。
もともと公立全日制の定員が希望者に比べて大幅に下回っている(今春、希望者56262人に対し定員42301人、来春は中卒者減は約300人だから定員334人増では微々たるものである)ため、定時制があふれるのだから、定時制の学級増をするのでなく、公立全日制の定員をもっと増やすべきである。
統合された高校を存続するなど、「県立高校再編計画」の見直しを
また、今回の公立全日制の定数増は、中卒者の希望に沿うならば公立全日制の統廃合などすべきでなかったことを明らかにした。今からでもいい。統合される高校を普通科高校として存続させるなど、再編計画を見直すべきである。
定時制の定員を増やすなら、市立港・横浜商業の募集再開で
仮に、定時制の学級増を行うとしても、県立5校と市立2校での学級増は、筋違いである。今年の入試の大失態の最大の原因は、横浜市の無謀な定時制潰しにある。それ故、定時制の定員を増やすなら、市立港、横浜商業の募集再開をすべきである。
様々なハンデイを抱えた人たち、全日制に行けなかった人たちが通う定時制では、一人一人に十分目をかけた手厚い教育が不可欠である。生徒の数が増えれば、こうした手厚い教育は急速に不可能になる。今年度6学級の戸塚からはもちろん、今年度学級定員増で生徒が増えた学校からも、悲鳴が聞こえてくる。戸塚の来年度5学級は論外だが、希望ケ丘、湘南の来年度4学級もムチャである。定時制の良さを生かすために、大規模化はやめるべきである。