2002年10月5日

  全日制進学率90%(100校計画前と同じ)に下落 

再編計画の見直し・公立枠拡大・
港高校などの募集再開を!

「15の春を泣かさない」入学定員の策定を求めるー


 8月、神奈川県教育庁は2001年度公立中学校卒業者の進学状況を発表した。それによると、全日制高校への進学希望者は昨年の10月20日時点で64,290人いたのに、実際に進学できたのは62,201人で、昨年比3,241人も減少した(中卒者は前年に比べ2,686人減少したにすぎない)。

 その結果、2002年度入試における全日制進学率(公立中学校卒業者対象)は90.0%に減少(前年比1.2%減)し、高校増設100校計画より以前の1972年の進学率と同じになった。

 ここにはっきり示されたように、まさに2002年度の高校入試は、「15の春を泣かせる」入試であった。
年度 計画進学率 実績進学率 私学定員数 私学実績数 定時制定員数 定時制志願者数
 97   93.0   92.4  18、000  17,188   2,580    1,616
 98   93.0    91.8  18,000  16,022   2,485    1,903
 99   93.5   91.9  18,000  15,544   2,345    2,097
 00   94.0   91.7  17,500  15,740   2,310    2,131
 01   94.0   91.2  17,400  15,060   2,310    2,095
 02   94.0   90.0  17,300  14,654   2,219    3,330

私学枠温存し、公立枠削減した県教委の入学定員策定が元凶

  公立中学校卒業生の進路希望調査によると、県内公立全日制高校への進学希望者は56,262人(中卒者の81.5%)もいたのに、実際に県教委が策定した公立全日制の入学定員枠は42,301人にすぎず、残りを17,300人の私学枠で受け入れるとしていた。

  しかし前年度、2000名も入学定員枠を下回った私学に対し、前年よりわずか100名を減じただけの17,300名という枠は、そもそも初めから完全に充足できるのか疑問の声が多く、もっと公立枠を増やすべきだという声が強く出されていた。それにもかかわらず、県教委は中卒者の減少を理由に、県立高校再編対象校を中心に公立高校の学級減を行うことで、全日制高校の入学定員を2,718人も減少させた。

  結果は、県内公立全日制では、前年より約300名も不合格者を増やし、受け入れたのは41,816人(74%)であった。私学への入学者は14,654人で、定員より2,600人以上も少なかった。これにより、1990年以降91%台(97年度のみ92.4%)であった全日制の進学率がついに90.0%までに落ち込んだ(前頁表参照)。

進学希望者が増加していたのに、定時制の定員を削減した横浜市教委の責任

  定時制についてみると、前頁の表でも明らかなように定時制への進学者は、中卒者が減少する中で昨年は40名ほど減少したものの、ここ数年は増加傾向にあった。

 特に、横浜地区は普通科を中心に、翠嵐や希望ヶ丘高校では10~30名もの不合格者を出さざる得ない状況が数年続いていた。こうしたことが明白であったのに、横浜市教委は港高校、横浜商業、横浜工業を募集停止し、140名の定時制定員を減らした。それを県教委は認め、当初の入学定員策定で何らの対策を取らなかった。

  ここ4、5年深刻な不況のもと、公立の全日制を不合格となった場合に、私学へは進学できず、定時制を志願する例が増えてきていた。それを知っていながら、定時制の枠を減少させた横浜市教委と県教委の責任は極めて重いと言わざるを得ない。

教育行政の責任において、「15の春」を泣かせないように

 県教委が、公立全日制高校の入学定員を大幅に減少させる、異常な入学定員策定を続けているのは、中卒者減少を理由に「県立高校改革推進計画」(「再編計画」)を推し進め、県立高校を統廃合することに固執しているからである。

 このまま「再編計画」を実行していくならば、今年の入試で起きた混乱がまた来年も再現され、「15の春を泣かす」ことになることは明らかである。

 私たちは、「再編計画」の抜本的見直しを求める。前期計画についても見直し、さらに後期計画では、県立高校の統廃合を行うべきではない。来年度の入試では、私学枠を実績に見合った適正な定員に減少させ、公立枠を大幅に増やすことが必要であり、多くの公立高校で学級増を行うべきである。教育行政の責任において、実績進学率が計画進学率を下回らないように、あらゆる手だてを取ることが必要である。

  また、定時制については、今年特例とも言える学級増(入試後、さらに2学級追加)を押しつけられた戸塚高校に対し、また来年も学級増を求めてはいけない。翠嵐や希望ヶ丘高校の臨時学級増も問題外であり、それだけ横浜において定時制の志願者が見込まれるのならば、港高校と横浜商業を募集再開すべきである。同時に、定時制については1学級35人募集という、これまでの定員策定の基準は守られなければならない。

  「15の春を泣かさない」入学定員策定を行い、2003年度の春こそ、全日制を希望する人が全日制へ、定時制を希望する人が定時制へと進学することが可能となる入試の実現を強く求めたい。 

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