2002年7月5日
県教委・横浜市教委の失政で、痛みを受けている生徒たち
2002年度の定時制入試は、横浜市教委の市立定時制3校募集停止の暴挙と、県教委による全日制募集計画の不合理(私学入学者が定員より毎年約2000名も少ないのに私学定員をほとんど減らさない。そのため計画進学率94%に対し実質進学率は91%台)とにより、多くの定時制不合格者を出し、学ぶ意思を持った多くの人たちから学習権を奪った。
その過程で、県教委は全県の定時制の学級定員を35名から40名へ引き上げ、横浜市教委は横浜総合高校のV部を全員合格とし、市立戸塚高校定時制は2学級の再募集を決断した。これらによって少なからぬ人たちが定時制に受け入れられたが、これで良しとはとうてい言えない。
まず、これらの緊急措置にもかかわらず、多くの人が定時制にも行けなかった。再募集での不合格者13名はもちろん、最初の入試の不合格者の中でも、それまでの不合格のダメージが大きかったり、通える範囲に再募集がなかったりで、再募集への挑戦をあきらめた人はかなりの数にのぼるだろう。
横浜から小田原の定時制に通うなど遠距離通学、不本意入学が大幅に増えた
定時制に入れた人もさまざまな痛みを受けている.
第一に、下の表から明らかなように、横浜から小田原の定時制に通わざるを得なくなった人など、遠距離通学の人が増えた。もともと定時制の場合は、様々な条件から近くでないと通えない人が多いにもかかわらずである。
横浜在住で、遠距離の定時制に通っている新入生の数
小田原地区
定時制A校平塚地区
定時制B校厚木地区
定時制C校横須賀地区
定時制D校1名 3名 1名 6名
第二に、不本意入学が大幅に増え、指導の困難が増している。とくに、全日制の普通科に入れず、定時制の普通科にも入れず、希望と違う専門学科の定時制に通わざるを得ないという二重の意味で不本意入学の人が増えているところがあり、学習指導や生活指導で大変だと報告されている。もちろん不本意入学が増えたということは、初めから定時制を希望していた人で不合格になった人が増えたということでもある。
第三に、1学級定員が35名から40名に増えたことによって(全日制は、新入生については1学級39名募集)、定時制の特長であった少人数できめ細かい指導が十分できなくなり、長欠者が増えているという報告がある。不登校の子が学びやすいという定時制の良さが失われかねない事態である。
県は全日制入学定員策定の不合理を正し、横浜市は港高校などの募集再開を
この夏には、来年度の高校の入学定員が決まる。ここで、今年の教訓が生かされなければ、来年も今年の二の舞である。
私たちは,県教委が、全日制の入学定員策定において、計画進学率を実現するために私学の入学定員枠を前年度の実績に合わせて減らして、その分公立枠を増やすこと、後期の再編計画において定時制・全日制ともに統廃合を行わないこと、横浜市教委が、港高校と横浜商業定時制の募集を再開することを強く求める。