2002年5月17日



教科書・給食の補助認定の変更で、生徒・保護者・担当者に新たな負担

生徒の実状にかなった認定の弾力化と、「1年生」認定の復活を

 

 定時制の教科書・給食に対する国の補助の認定がこの4月から変更され、それも学年末のおしつまった多忙な時期に示され、生徒・保護者・担当者の負担が増大しています。

 変更の第一は、「1年生である」ことが自動的に認定要件であったのを、認定要件から外したことです。この要件は、入学してから就労指導が始まるという実情にかなったものでした。

 変更の二点目は、認定要件の一つである「求職中」の認定の要件を、これまでは校長の認定でよかったのを、基本的にはハローワークでの登録としたことです。

 これらの変更に対し、各校の対応は様々ですが、大きくわけると次の二つにわかれると思われます。

 A:当初購入方式 年度当初に購入させ、後に証明書等が提出されたら還付する。

 B:当初認定方式 期限を切って年度当初に証明書等を提出させ、提出しない生徒には購入させる。(A、Bとも、教科書についての例)

 どちらの場合にも、担当者の仕事量の増大はもちろん、以下に述べるように、生徒・保護者の負担が増大しています。



「元気なやつほど楽に補助が受けられ、弱いやつほど受けにくい」


 上の見出しは生徒の言葉ですが、まさに状況を言い当てています。定時制には、働く意志があってもハローワークへ行くことさえなかなか困難な生徒がかなりいます。漢字もなかなか書けなかったり、他者とのコミュニケーションをとることが苦手だったり、精神的や身体的にハンディを抱えて定時制に通うのが精一杯の生徒たちの中には、大勢の大人たちの中で多くの項目のある登録票に記入し面談を受けパソコンで探索することが、大変な困難である生徒もかなりいます。実際に、C校では、8〜9割の生徒が証明書を提出していますが、残りの1〜2割の生徒の多くはこのような生徒たちです。現在の定時制の生徒に対し、有職者やハローワークに簡単に行ける人と、ハローワークにも簡単には行けない人との間に差をつけることは、とても非教育的です。



     2万円以上の負担増、払えない保護者や教科書を買わない生徒も


 給食を食べる生徒の場合、認定されなければ年2万円以上の負担増になります。校納金を増額して教科書代と給食代を徴収したD校では、これまでなかった校納金を払えない保護者が出ています。

 教科書代を独立で徴収したE校では、いまだに教科書を買わない生徒がいます。

 B方式をとったC校では、生徒との人間関係をつくる大事な学年初めの時期に、「ハローワークへ行ってきなさい」「証明書をもらってきなさい」という煩雑な指導が加わり、担任は悲鳴をあげています。特に、1年生で大変です。



生徒の実情にかなった認定基準の弾力化と、1年生」認定の復活を


 以上述べてきたように、今回の変更は現場に様々な困難を引き起こしています。ハローワークにも簡単には行けないような定時制の生徒たちの実情にかなった認定基準の弾力化と、「1年生」認定の復活を強く望みます。

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