2002年1月25日
横浜市立定時制3校の募集停止は、学習権の侵害
昨年10月末、横浜市教育委員会は、2002年度の定時制入学定員発表にあたって、横浜市立定時制3校を一挙に募集停止とした。この3校とは、夜間定時制では全国最大級(在籍生徒数が約500名)の港高校、定時制独立校の横浜工業、商業高校の定時制として生徒数がきわめて多い横浜商業である。
横浜市教委は、港高校と横浜工業の廃校、横浜商業の廃課程と引き替えに、横浜工業の校舎を使い、そこに三部制で総合学科の定時制(横浜総合高校)を創設することを明らかにした。
しかし、横浜総合高校の入学定員は、午前部と午後部各3学級の210名と夜間部2学級の70名を合わせて、280名でしかない。募集停止とされた3校の今年度の入学者数は、港高校がほぼ定員の174人、横浜商業が95人、横浜工業は91人である。3校合わせて360人という数は、横浜総合高校の入学定員280名を超える。オーバーした80名を、この3校以外の戸塚高校や鶴見工業の定時制で、受け入れることは不可能である。
市教委は、県立の定時制があると言うが、横浜市内の県立定時制でも翠嵐高校や希望ヶ丘高校では近年応募者が増加して、10〜30名の不合格者を出さざるを得ない事態となっている。市教委はまた、全日制もあると言うが、全日制の入学者定員はここ何年も学級減を続けることによって大幅に減少している。また、私立の中には入学定員枠通りの生徒をあえて確保しないところもある。
全日制でなく、あえて定時制それも夜間の定時制を望む生徒が増えている
この3月に県内公立中学校を卒業する生徒に対する進路希望調査によると、全日制高校を希望する生徒が若干減少(94.0%から93.1%)し、定時制を希望する生徒が増加(0.5%から0.9%)した。
横浜市立高校教職員組合が、市立5校夜間定時制の2001年度の新入生に行ったアンケート調査によると、「自分の学校が昼間部の定時制だったらよかったか」という質問では、「思う」が113人(22%)であるのに対し、「思わない」が309人(61%)である。昼間部に否定的な生徒は、昨年度の58%から3%増加した。
横浜総合高校では、夜間部の定員は70名と少なく、夜間定時制を望む多くの意欲ある人が、この夜間定時制3校の募集停止により学ぶ機会を奪われることとなる。
横浜市立定時制の保護者と生徒が「定時制を残せ」と運動
今回の横浜市教委の定時制3校募集停止の暴挙は、まさに学習権の侵害という人権侵害である。これに対し、定時制高校の保護者、在校生、卒業生、教職員らが横浜市弁護士会に人権侵害救済の申し立てを行い、募集停止を撤回させる運動を続けている。
昨年11月、保護者や卒業生、教職員が集めた署名をもとに、「よこはま定時制父母の会」が「横浜市立定時制高校の募集停止の中止を求める請願書」を提出し、定時制の生徒と保護者が横浜市教育委員会臨時会議で意見陳述を行った。この請願は、全く定時制高校の実情を知らない教育委員のきわめて不十分な審査で不採択となったが、保護者と生徒・卒業生は以下のシンポジウムを開き、募集停止の中止を求め運動を継続している。
シンポジウム 「横浜市立定時制高校をつぶさないで!」
日時 1月26日(土) 13時から17時まで
場所 横浜市従会館ホール(桜木町駅下車 徒歩10分)
共催 よこはま定時制父母の会・横浜市立定時制高校の灯を消さない会
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