2001年6月1日

  第5回東海・近畿「定通父母の会」交流会に参加して 

父母・生徒・教師が地域に根ざした学校づくりを

定時制卒業生の保護者


 8月25日から26日にかけて、浜松市弁天島において第5回東海・近畿「定通父母の会」の交流会が開かれました。私は神奈川県内の民間会社に働き、息子が横浜市立の定時制を卒業したこともあり、今回の交流会に「父親」の立場から参加しましたので、ご報告いたします。

父母が積極的に学校づくり

 1日目は全体交流討論で、愛知、京都、静岡、神奈川、大阪と1年間の活動報告があり、入学時の定時制学校の説明会を報道機関に働きかけ500人以上の参加者を集めた愛知の話、「府財政計画」で完全給食からパンとミルクだけの補助給食に切り替えれたため反対運動をしている大阪の話、定時制高校5校が3部制総合学科1校に替える計画に反対署名の運動をしている横浜の話等、父母が直接学校に係わり「学校づくり」の運動を展開していることに感心しました。

母親としての悩みを打ち明け合う

 1日目後半は「統廃合にいかに取り組むべきか」をテーマにしたグループと「不登校生を持つ親として」に別れ、私は「不登校生を持つ親として」のグループに参加しました。

 「中学時代はほとんど不登校だった子どもが定時制高校の先生も友だちも受け入れてくれ学校に行くようになった」「子どもが精神的に弱く定時制に行ってもまだ学校を休み、不安でたまらない」など母親が口を震わせながら心のわだかまりを打ち明けていました。

「単位制」高校はバラ色教育にはならない

 2日目は定時制「単位制」高校の問題点の講義があり、県・市教育委員会は「いつでも、誰でも、楽しく」のキャッチフレーズで「単位制」高校や三部制総合学科高校の開設を押し進めているが、現実は生徒の未修得単位等から卒業できなくなる高校が多いことや、単位の「切り売り」や安易な単位認定によって教科の系統性が薄れ欠落すること、先生の勤務形態が多様化して勤務が長時間化し、健康破壊がすすむことなどがあげられました。

神奈川に「温かい教育」を

 私事ですが、今年の春に私の母が80歳で亡くなりました。大正生まれでまともな教育を受けられなかった母は生前「私の人生は無知が故につまらなかった、でも三郎が16歳で都会に出て、働きながら定時制高校を卒業し、立派に家を構えて生活をしていることが唯一の救いと楽しみになった」といって涙を流していたことが思い出されます。

 私自身、中学時代は高校入学の補習授業などで成績順にクラス分けされたため、教育に対しては「冷たい教育」と感じていました。

 しかし、神奈川の定時制に入学して「同じ目線で考え、接してくれた先生や働きながら学ぶ悩みを聞いてくれた友達」に「温かい教育」を感じたものです。特に先生方が私の学校生活に対して真剣に意見を言ってくれたことに心の中まで焼きついて、考えてみますと今の生活の羅針盤のようになっていると思います。

 今、神奈川の定時制教育では2年続いて募集定員が15名を満たさなければ募集停止にしたり、「服務通知」によって今まで問題なく認められてきた先生方の自主研修が剥奪され、今までよりも4~5時間早く学校に来ているため、生徒が登校してきた時には疲れ切っているなどの現状を知ったとき、私は深い憂慮の念に耐えられません。

 いま、父母のみなさんや先生方が一緒になって神奈川の子どもたちを守り、地域に根ざした学校づくりをめざす必要性を痛感しています。
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