2001年6月1日
シリーズ 「健康破壊と家庭崩壊をもたらす勤務形態」 @

         「服務通知」による理不尽な勤務形態は
             健康破壊と家庭崩壊をもたらす


 昨年6月、県教委がこれまでの労働慣行や職場実態を全く無視して、一方的に発令した「服務通知」によって、夜間定時制教職員は自主的・主体的な研修が認められなくなり、生徒が登校しない1時頃から狭い職員室に缶詰め状態となる勤務形態を押しつけられている。その結果、以下のような健康破壊と家庭崩壊をもたらす事態となっている。
 

  1時過ぎからエアコンもない職員室に缶詰め。いい加減疲れてしまった頃に授業開始。授業が終われば、部活や下校指導や吸い殻拾い。家に帰り着くのは深夜。翌日はまた午前中に家を出る。こんな生活がこれ以上続けば体が持ちそうにない。社会人、家庭人としての生活は破綻してしまう。こんな状況におかれて自分は生徒の接し方を何か間違ってしまわないか、不安である(A校、40代)。


  10時頃学校を出て、11時半帰宅。1時過ぎに就寝。9時頃起き、朝食を食べ終わり少し休むと、もう11時には家を出なければならない。全日制の頃には、4、5時間あった自分の自由にできる時間が、今は全くないと言ってよい。いつも時間に追われている感じだ(B校、50代)。


  家に着くのは、11時頃。少し飲んだ後、寝るのは2時頃となる。子どもの面倒をみなければならないので、6時頃には起きるが体調は最悪で、いつも頭がボーとしている。このままでは何をするか分からない(C校、40代)。


  11時半頃家を出るため、昼食は食べたり、食べなかったりとなる。学校で2時か3時頃食べることもあるが、そうすると夕食が食 べられなくなる。この勤務となり、食事と生活がすごく不規則となった。帰宅は11時過ぎとなり、どうしても寝るのは、1時か2時頃となる。疲れが取れず、慢性疲労となり、高血圧、痛風など身体はガタガタだ。せめて、ゆっくりと昼食を食べることのできる時間的な条件をつくって欲しい(C校、50代)。


  家に着くのが、11時頃となるため子どもは寝てしまっており、カミさんも寝ていることもある。すぐ眠りたいのだが、生徒指導などで頭や身体が興奮していて、すぐ寝つくことはできない。ついつい、遅くなると翌日早く起きることができず、子どもからは、「お父さんは週末しかいない」とか、カミさんからは「うちは母子家庭」などと言われている。このままでは、家庭崩壊だ(D校、30代)。

トップ(ホーム)ページにもどる


2001年7月26日
シリーズ 健康破壊と家庭崩壊をもたらす勤務形態 A
「服務通知」による理不尽な勤務形態は
健康破壊と家庭崩壊、教育への悪影響をもたらす
  
― 生徒が登校する前までの自主研修は、「教特法」上からも認められるべき ―
 前回は、昨年6月に出された「服務通知」により、夜間定時制の教職員が生徒が登校する4〜5時間前から狭い職員室に缶詰にされ、午後10時頃まで拘束されているため、以下に健康破壊や家庭崩壊を引き起こしているかを見てきた。
 今回は、こうしたことに加えて、この勤務形態が教育への悪影響をもたらしていることをいくつかの証言から示したい。



 こうした勤務形態となり、すべての点で余裕がなくなってきているので、生徒に対する対応がこれまでのようなおおらかさがなくなってきている。前は、もっとゆったりとした対応ができていた。また、職場から教職員の笑いが少なくなり、職場全体が前にくらべると暗くなった(A校 50代)。


 自由な研修の時間がほとんど認められなくなって、これまでやっていた資料探しや教材研究ができなくなった。その分、学校に早く来させられるのだが、学校は研修ができる環境にない。今まで、必要なときには、放課後に会議、面談、家庭への電話連絡などをしてきたが、翌日のことを考えると遅くまではできなくなった。その代わりに、生徒のいない昼間に拘束されるのは全く時間の無駄。正直言って疲れる。時間帯が特別なのだから、同じ8時間半では身体に無理がくる(B校 30代)。


 通勤時間が長いので、午前11時半には家を出る。昼食と夕食の二食分の弁当を持ってきているが、学校の冷蔵庫も満杯で入らないこともある。インスタント食品を食べることも多くなり、不規則で余裕のない食生活が不安だ(C校 40代)。


 学校に通っている子どもたちとは、朝食くらいいっしょにとりたいと思っているので、6時半には起床している。だからいつも眠い。家人は「早く寝ればいいのに」と言うが、缶ビールなどを飲んで、徐々に休息状態にもっていかないとすぐには寝付けない。床につくのはいつも1時を回ってしまう。週末になると頭が重くなり、耳鳴りがしてつらい。(D校 50代)。


 6月に入り蒸し暑くなり、クーラーもない職員室で授業の始まりまで5時間近く待っていると、完全に疲れ切ってしまう。こんなにバテ切った状態で行う授業や指導は、全く教育的ではない(E校 50代)。




トップ(ホーム)ページにもどる



2001年10月20日
シリーズ 健康破壊と家庭崩壊をもたらす勤務形態 B

服務通知による勤務形態は、教育への悪影響をもたらす

          ― 「教特法」で保障されている自主研修を認めることが必要 ―


  昨年6月に出された「服務通知」により、夜間定時制の教職員は生徒が登校するまでの自主研修を認められなくなったために、1時頃から準夜勤務といえる夜の10時頃までの勤務となり、健康破壊や家庭崩壊を引き起こし、教育への悪影響が生じている。
 今回も、こうした勤務形態に対する、定時制教職員の生の声を紹介しよう。




 家に着くのは、急いで帰っても10時15分。子どもに会いたい一心で帰って来ても、すでに眠ってしまっていることが多い。朝こそは子どもに会いたいので7時に起床するために、早めに布団に入るが、仕事の興奮がさめず、寝付けない。
 朝は7時に起きるので寝不足となるが、1度起きてしまうとなかなかもう一度眠ることができない。このツケは勤務の始まる午後にまわってきており、夕方にはもう帰宅したくなってしまっている。このままでは、仕事も家庭もダメになり、自己破壊だ(A校30代)。


 職場まで時間がかかるため、12時半には家を出ないと間に合わない。朝食から昼食までの間の時間が短く、昼食も満足に食べられない。同僚は現状への不満を口にすることはないが、心の中ではこの勤務態勢に怒りを感じていると思う(A校50代)。


  ここ1週間ほど、カミさんとは話をしていない。別にけんかしているわけではない。この勤務形態となり、働いているカミさんとは全くのすれ違いの生活になった。カミさんからは、「早く定時制から足を洗って、全日制に移ってよ」と言われている(C校 40代)。


 部活動を熱心にやっている生徒のために、11時頃まで部活を面倒見てやりたいが、1時頃から学校に来ているため、疲れと明日のことを考えるとつい、「さあ、もうそろそろ終わろうか」と言ってしまう。部活の指導も2時間未満はまったくの無報酬で、こんな勤務形態では、誰しも勤務時間が終わったら早く帰りたいと思うだろう(D校30代)。


 こうした勤務形態になって、これまで行ってきた自宅や図書館、大学での教材研究や、もう少し専門的な学習と研究が全くできなくなった。学校では、どうしても狭い職員室や同僚との関係、研究資料等が全然整っていないことなどのため、十分な研修ができない。そのツケは、授業に現れてきているのではないかと心配している。少なくとも、今までのような十分な下調べをして授業をやろうという意欲が衰えたことは確かだ(D校50代)。


 何十年も続いてきている始業時間が突如、一方的に変えられたら、どのようなことが起こるのか、常識的に考えればその問題の大きさを容易に想像できるだろう。
 養護学校の生徒の送迎ボランティアもできなくなった。生活パターンの急変は体調だけではなく、授業やひいては生徒との対応にまで悪影響を与え始めている。
 もともと独立しているべき定時制高校を、全日制のオマケのように扱ってきておいて、圧力がかかったからと見せかけの形式だけを整えるようなお役所仕事こそ、改善されるべきだろう(E校 50代)。


トップ(ホーム)ページにもどる