2001年4月21日
投稿 
翠嵐定、3年卒業可・「単位制」の二年間を終えて
松藤 哲(横浜翠嵐高校定時制)
 
 翠嵐定時制では、3年卒業可・「単位制」のカリキュラムの初年度生が3年目に入った。その担任二人のうちの一人として、二度目の報告をしたい。
 前回の報告と重複するが、はじめに新制度の概要を述べる。従来のように4年かけて卒業したい生徒は、コア部分(1〜4時間)で毎年20単位(計80単位)をとる。3年で卒業したい生徒は、それに加えて、0時限・5時限に置かれた自由選択科目から3年間で20単位を取る。コア部分のうち、必修科目は1年で20単位(全部)、2年で16単位、3年で4単位であり、残りは必修科目である。年間で20単位修得できなくても、部分的に修得した単位は生きるが、必修科目を落とせば、後年、下の学年の生徒一緒にその科目を修得しなければ卒業できない。川崎の橘高校と違い、クラスの中に3卒希望の生徒と4卒希望の生徒が混在する。
 このように翠嵐では、安易な単位認定と言われている外部単位(定通併修、大学検定試験、実務代替、技能審査など)を導入することを避け、授業時数を増やすという内部努力によって3年卒を可能とした。


新制度初年度生70名は、現在どういう状況か


 2年前に新制度初年度生としてスタートした新入生70人の中で、今春3年に進級した生徒は40人(57%)である。ただし、進級基準は甘い(各学年1単位でも取れれば進級、ただし2年間で20単位が必要)ので、この数字を他の学校と単純には比較できない。この40人のうち、3年卒が可能な(現在50単位以上修得している)生徒は31人である。残りの9人は4年間での卒業を目指すこととになる。残念ながら進級できなかった30人の内訳は、退学24、転出1、留年5である。
 こうした中で、私が気になるのは、入学当初3年卒を希望した51人のうち、今春3年に進級した生徒が34人(3年への進級率67%)であるのに対し、入学当初4年卒を希望した19人のうち今春3年に進級した生徒は6人(進級率32%)ときわめて少ないことである。中学不登校だった生徒の定着率が下がったことを前回報告したが、ハンディの重い生徒、ゆっくり4年かけて学び直したいという本来定時制が受け入れるべき生徒にとっては、居心地の悪い制度なのだろうと思われる。
 そのほか、県教委が教職員定数や講師時間においてまったく優遇してくれないこと、そのため1年生が1クラス40人以上(2クラスで初年度82名、2年目87名、今年度77名)になっても3クラスへの分割が困難なこと、必修科目を落とした生徒が後年下の学年の授業を受けること、単位さえ取れればよいという態度の生徒(欠課可能時数近くまで計算して欠席する生徒、授業時間の半分経過直前に入室する生徒 ― 半分以上在室が「出席」の要件、行事や生徒会活動に参加しない生徒)が増えたたこと、0、5時限があるため非常に慌ただしいこと、生徒の授業出欠の確認が難しいこと、など多くの問題点を依然かかえながら、3年目を迎えている。
 
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