2000年2月18日
平塚商業高校定時制の「修学旅行直前中止事件」から学んで
生徒の立場に立って父母・県民とともに前進する教職員組合運動を中陣唯夫(平塚商業高校定時制)
昨年9月、実施直前に中止された平塚商業高校定時制の修学旅行が、この2月12日に生徒や教職員の取り組みにより、「思い出作り旅行」と銘打って関西方面2泊3日の旅程で実施されました。
その節は、多数の方から激励やご心配をいただきありがとうございました。13名の少人数の参加でしたが、「行ってよかった」と喜ぶ生徒の顔を見て、引率した私も、あらためて安堵の思いをかみしめています。
「何かがおかしい、私たちのまわり ― 」
ところで、この一、二年の教育現場はどうでしょうか。 一見、穏やかに見える高校の先生からの賀状に「だんだん職場も居心地が悪くなってきた感じです」と添え書きがありました。
県はこのところ、「県会で批判されたから」とか、ごくごく一部の教職員の不祥事をタテに「服務、服務」と一本調子の命令を出し、管理職は「脅迫と恫喝」をもって、研修や退勤時間にまでうるさく圧力を加えてきています。
こんな時こその組合と頼みに思うのですが、大きな問題が起きても、機関会議で執行部が言うことは、目をつむって聞いていると、県当局の幹部が執行部席にいるのではと錯覚を起こしそうな内容であることが多くなってきています。
「何かがおかしい、私たちのまわり―」。このつぶやきは、「組合はあるが労働組合がない。組合があるが教職員組合がない。組合員だが労働組合員という感じがしない。組合員だが、教職員組合員という張りがもてない」という嘆きになっています。
県当局・県教委の教育と教育現場への攻勢
この二年間の県当局・県教委は、
●賃金攻撃 ― 人事委員会制度を無視した賃金カットや賃金抑制等々。
●「リストラ」攻撃 ― 継続的な学校財政カット、定時制の機械的な募集停止等々。
●管理・統制の攻撃 ― 常軌を逸した現場への抜き打ち「服務調査」などの管理強化、 「日の丸・君が代」の強権的押しつけ等々。
つまり、経済面や、労働面、精神面などにわたり、人権侵害など教育の場に職を得ている者の生きがいと誇りを奪うかたちで攻勢をかけてきています。
県民と教職員を分断しながら、管理統制を強化
攻勢の際には、常に「県民の目がきびしい」などという言葉で、漠然とした「県民の目」に教職員がひるんでしまうような手法が繰り返されています。
都合のいい勝手な「県民像」でもって県民と教職員を分断し、管理統制を強化しているこうした圧力に対し、教職員組合がたたかいを提起すべきなのに、それができていません。
むしろ、組合執行部は一時金8%カットを押しつけた岡崎県政を大会方針案で評価したり、「日の丸・君が代」でもほとんどたたかえない「方針」しか提起できず、昔ながらの表からは見えないボス交渉で事態解決の回避を図っています。その結果が、管理統制の進行と諸要求の大きな後退、そして職場を徘徊する「組合はあるが労働組合がない」という嘆きです。
今こそ、教職員組合は試されている
今こそ、教職員組合は試されています。私が体験した「修学旅行直前中止事件」のたたかいが示唆している、生徒の立場と父母や県民の教育にかける熱い願いをしっかりと受けとめて前進を図るような教職員組合運動のスタンスをとるのか、
それとも、岡崎知事の官僚・保守県政が許容するワク内で、表からは見えないボス交渉の反復で要求が前進できると考える教職員組合運動のスタンスをとるのか ― 、このいずれをとることが県当局の攻撃を跳ね返し要求の実現につながるのか ― 、その選択が問われていると私は考えています。
私はもちろん、この「事件」から、前者のスタンスなしには教職員組合の“明日”はないと確信しています。いっしょに考えながら前進しましょう。
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