1999年11月16日
シリーズ 県立高校統廃合案を斬る @
公立普通科校の開門率、大幅ダウン 54.8%(1999年)から47.1%(2006年)へ
― 私立高校、定時制、通信制への不本意入学者の割合が増える ―
中学3年生の全日制公立高校普通科高校(以下、公立普通科校と略す)への進学希望率は、72.5%です(今春中卒予定者77,375人のなかで公立普通科校の希望者は、56,072人 県教委統計)。これに対し、現実の公立普通科校への進学率は、55.2%(42,762人)にすぎません。
これは、公立普通科校の学級数がどんどん減らされてきて、今年は定員が42,440人しか設定されなかったからです(99年度の公立普通科校の開門率は、54.8%)。この結果、約13,300人が希望に反して、私立高校へ進学するか、経済的な理由等で私立に行けない人は、定時制や通信制に進学せざる得ませんでした。
現在でも、こんなに親や生徒に負担と犠牲を強いているのですが、統廃合案では、前期計画だけで県立高校を14校削減することによって、公立普通科校の開門率が年々低下し、2006年には47.1%になります(この年の中卒予定者が62,880人であるのに、公立普通科校の定員予定が29,615人である)。
生徒の希望に応えるなら、県立高校の削減は必要ない
「生徒の希望やニーズに応える」(県立高校統廃合案)と言うのなら、まず公立普通科校の枠を広げるべきです。希望率(72.5%)が変わらないとすると、2006年の公立普通科校への希望者は45,588人(62,880人×0.725)です。
この希望に応えるならば、県の固執する40人学級としても、現存の公立普通科校151校で平均学級数は7.5学級となり(県の言う適正規模は6〜8学級)、県立高校の削減は全く必要ありません。
親や生徒の願いに応えていない統廃合案は、抜本的見直しが必要
なぜ、県の統廃合案は、上のようにひどいことになるのでしょうか。それは、県のねらいが、親や生徒の願いに応えようというところにはなく、自らの失政による「財政危機」のつけを県民に転嫁し、県立高校を削減すること、つまり親や生徒に負担を押しつけることと、一部のエリートとそれ以外を早期から選別しようとする財界や文部省の方針に沿って、総合学科を増やし、公立普通科校を減らすことにあるからです。
生徒や親の願いに応えていない統廃合案は、抜本的な見直しが必要です。
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