1999年5月26日

なぜ、全日制高校を何校も廃校にして、

    フレキシブルスクール(単位制による昼間定時制高校)なのか


  この5月、県教育委員会は2000年度から、総合学科、単位制高校など新タイプ校を20数校設置する考えを明らかにした。この再編計画が完成する10年後には、高校の数は全体として20〜30校減少することが予想される。新タイプ校には、定時制教育に大きな影響を与えることが懸念される「フレキシブルスクール」の導入が盛り込まれた。

  フレキシブルスクールとは、単位制普通科の変形として、昼夜間の幅広い授業時間帯(8〜12時間)を設定し、生徒が自らの生活スタイルや個々のペースに合わせて学ぶことのできる学校であると県教委は言う。まとめると、@午前、午後、夜間各4時間程度開講する。 A学年制ではなく単位制である。 B課程は、定時制課程となる可能性が高い。  フレキシブルスクールは、まさに東京で2001年に開校をめざして準備が進められているチャレンジスクール(単位制昼間定時制高校)そのものである。県教委もそれを認めている。ただチャレンジスクールという名称を使わなかったのは「手垢に汚れているから」(開校前からすでに、問題点が指摘され評判が悪くなっているから)とのことである。

  フレキシブルスクールは、なぜ全日制の単位制高校ではないのか

 フレキシブルスクールは単位制の高校であるのだから、既存の単位制高校である神奈川総合高校や大師高校と変わらないはずである。それをあえて単位制高校と名乗らないのは、単位制高校に見合うだけの施設・設備、人員配置を保障せずに安上がりで設置しようとしていると考えられる。また、定時制の単位制高校であれば、大検や実務代替、技能連携による単位認定が可能となるし、定通併修も利用できるというわけである。

  しかし、全国の定時制単位制高校のこの間の経過を見ると、こうした単位認定(全日制では認められていない単位認定)は、生徒の学力や人格の形成を保障するものではないことが明らかになってきている。

 単位制による昼間定時制の設置ではなく、全日制と夜間定時制の拡充を

  「生活スタイルに合わせて昼夜間の授業時間帯を用意」などということが言われるが、仕事の関係でその日その日で授業を受ける時間帯が午前、午後、夜間と変わるような生徒はあり得ないし、授業の系統性や順次性を考えるとそうしたことに対応することは不可能である。そもそも、昼間働いたり、各種学校等で学んでいる人には夜間定時制があるのであり、それを今以上に拡充していくことが必要である。なぜ、全日制を何校も廃校にして単位制の昼間定時制が必要なのか、県民に理解できるように県教委は説明するべきである。

  県民が求めているのは、矛盾と問題山積のフレキシブルスクール、すなわち単位制による昼間定時制高校の設置ではなく、従来の全日制と夜間定時制において、単位制度を柔軟に運用できるような教員定数、施設・設備の整備と30人学級である。

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