1999年4月20日


定時制への応募者は大幅増   80人〜100人の不合格者!

県教委は「見通し」の誤りを認め

名実そなわった就学保障を


 県教委はこの2年、中学卒業生の減少や全日制計画進学率の拡大により、夜間定時制の応募者急減は必至だとして、一方的な「基準」で小田原城東高校、小田原城内高校箱根分校、三崎高校の3定時制を募集停止にしてきたが、こうした下で実施された今年の入試をめぐる状況はどうだったろうか。その特徴点をあげてみよう。

 @志願者数がこの2年間に増加、下表にあるように97年度比で、99年度募集定員は165人減となっているが、志願者数は一次応募分だけでも282人増加、競争率がアップし0.97倍となっている。また、競争率が1.0倍を超えた学校は、この3年間で4→5→8校と増えて、二次募集分まで入れると9校に増えている。
  

1999年度定時制応募状況
(一次募集 志願変更後1.0倍を超えた学校分)

募集定員 志願者数 競争率
横浜翠巒 70 92 1.31
希望ヶ丘 105 124 1.18
 追   浜 35 36 1.03
 湘   南 105 136 1.30
厚 木 南 105 153 1.46
伊 勢 原 35 44 1.26
相模台工業 70 96 1.37
津 久 井 35 52 1.49
定時制全体合計 1190 1159 0.97
前 年 比 −70 +114 +0.14
97年度比 −165 +282 +0.32
 *合計、対比数値は県立定時制21校の統計
 

 A上記の実情と県行政の対応の不十分さなどで、これらの学校が約80人〜100人に近い不合格者を出さざるを得ない事態になっている。中学卒業者や高校中退者が、高校就学の”最後の砦”といわれる定時制高校でも学ぶ機会が奪われているということである。

 B厚木南、相模台工業、津久井の3校では、相模原地区に定時制普通科がまったくないため、慢性的な定員オーバーとなっており、この3校で平均1.44倍、各校平均で定数オーバーは約30人である。
 このため就学の機会を失ったり遠距離通学せざるえない生徒が多く、1996年10月に発行した本会『ニュース』27号でも指摘したが、県教委はこの事態に何ら対策を立てず放置している。

 C小田原城北工業や追浜など、募集定員を半分に減らした学校で定員を超えた応募者があり、拙速な「教育切り捨て」の結果として問題である。

 D募集停止した地域では、定時制に通いたくても通えない青少年が増えており、城東高校があれば通ったのにと、鴨宮から平塚商業高校に通っている生徒もいる。
 三崎地区では(三崎高校定時制が募集停止されたため)横須賀地区への遠距離通学者10名前後出ており、働いている青少年はかえって定時制高校に通えないという、深刻な事態を心配する声が地元からあがっている。

 これらの特徴の問題点を要約すれば、
 ○この2年間で、県教委は募集定員を165人減らしたのに応募者が反対に282人増えている。これは県教委の「見通し」がまったく誤っていたためであり、その結果、多数の「不合格者」が出ていること。

 ○加えて募集停止や、相模原地区への適正な定時制普通科の配置を怠っているため、就学の機会を奪われたり、過重な負担のもとで通学している青少年が増加していること、などである。


『再編通知』の見直しと「募集停止基準」の撤回で事態解決を

 この事態を解決するためには、県教委はまずこうした「誤り」のもととなっている1992年2月の『再編通知』、特に「学級数及び募集停止のの基準」を撤回し、募集停止校についてその妥当性を見直すべきである。

 また昨年(1998年)9月の『県立高校将来構想検討協議会』答申にのべる、「できるだけ多くの進学機会を確保し、t県民の期待に応えてきた・・・・・進学の機会の拡大を図ってきた」 「定時制の規模・配置の適正化が図られている」との(実態とかけはなれた)認識に立った姿勢を改める必要があろう。

 県教委は、名実をそなわった「就学保障」という教育行政の原点に立ち返り、就学を望む人がすべて入学できるように尽力することが必要である。

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