1998年11月13日
三崎高校定時制の「募集停止」に抗議する
― 県当局・文教常任委・神奈川高教組は「就学保障」の立場に立ちきれたのか ―
10月23日、県教育委員会は来年度公立高校募集定数発表の席上、昨年2月に出した「県立高校定時制再編通知」の「統廃合基準」を機械的に適用、ついに三崎高校定時制の募集停止措置を明らかにした。
5月からの「三崎高校定時制を守る会」の三浦市議会への陳情署名約22000の提出による、市議会全会一致の意見書採決、そして7月からの県議会への陳情署名約32000の提出。
ここに込められた存続要求を「無」にしての今回の決定は、あらためて岡崎知事が進める「県民無視の非常な県政」を示したもので、関係各方面からの非難の声が高まっている。
そこで、この10月の動きから今回の決定をめぐる問題点をみてみよう。
4日(日) 京急「横須賀中央駅」前で街頭署名活動。
5日(月) 当局、三崎定時制の来年度教職員定数3名減を内示。
9日(金) 文教常任委員会でこの陳情採択について審議。「今の情勢ではやむなし」の保
守会派の意見が大勢を占める。
13日(火) 教育庁、教育委員会に「募集停止」を提案、決定。
16日(金) 県当局、同日付で「陳情不採択」の通知を三崎高校と「守る会」代表に送付。
19日(月)から22日(木) 神高教、当局への「募集存続」要請電報の集中を指示。
22日(木) 神高教定時制対策会議。
23日(金) 県当局、記者会見で「募集停止」を発表。
26日(月) 神高教、「三崎高校定時制募集停止に対する声明」を発表。
就学保障の立場を捨てた教育行政
まず、当局の不誠実さが目にあまる。それは三浦地区の地域性について一度も現地調査せず、この間三度の交渉で出ていた「全日制での少数者(不登校など)の就学保障対策が形に見えてくる時期まで募集停止の措置は待ってくれないか」との現場の切実な要求にも、教育行政の責務をあいまいにする一方で、「経済的非効率論」のホンネをチラつかせるばかりで、何ら対応策を出さないままにしたことである。
そのうえ、教育委員会で「募集停止」も決定していない5日に、早々と「募集停止」を見越して教職員の定数減3を内示してきたのである。常軌を逸した姿勢といわざるをえない。
陳情の重みが受けとめられていない
次に、文教常任委員会は多数で「陳情不採択」を決定した(共産党は陳情に賛成、社民党は保留)。しかし、十分な調査や審議もせず3万を超える陳情を不採択にした姿勢には、「就学保障」の立場に立ったものがみられず、委員会の性格からしても大きな問題を残したといえる。
本当に組織あげてのたたかいであったのか
神高教の取り組みはどうだったろうか。7月の大会で「組織をあげて募集停止にしない運動を展開する」と執行部は表明しながら、募集存続要請の決議が9月の中央委員会まで延び、署名目標も20万を掲げながら組合自体のものは1万にも及ばない数に終わっている。3回の対県交渉には書記長など三役クラスが一度も出ず、この点でも組織上げてのものとなっていない。
第3回の交渉で「今後ともこれで決着ではなく、対応していきたい」と交渉継続を当局に取り付けておきながら、この後交渉を行っていない。当局の結論が出るまでの約1ヶ月は、要求を貫徹するうえで生かされた期間だったとはとうていいえず、結論が出てからの「要請電報」の指示や記者発表前日の定時制対策会議とは、どのような役割をもったものだったのか、理解に苦しむ。
以上、三者が「就学保障」の立場に立ちきったとはとてもいえない。
募集再開と「再編通知」の見直しを
では今後、神奈川の定時制教育を守っていくにはなにが必要だろうか。
まず、何よりも2000年度の「三崎高校定時制の募集再開」を求める取り組みを展開すること。それとともに、「定時制再編通知」の中身の根本的な見直しを当局に要求し、団体交渉の場を設定させること。
要求の具体的内容は、「重点校と非重点校」の区別をなくすこと、「募集停止の15名基準」を全国平均の一桁並みにさせること、などを「就学保障」の立場から強く迫っていくことである。
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