1998年9月4日

「三崎高校定時制の存続を」の声

                                   ― 地元から、県内から高まる ―  

  6月、三浦市議会は約2万2千の署名を踏まえ、「三崎高校定時制の存続を求める意見書」を全会一致で採択、県に提出した。しかし、県の姿勢に変化が見られないため、「県立三崎高校定時制を守る会」は、7月、保護者、生徒、地域の方の「三崎の定時制がなくなっては困る」の声を受け、県内全域で「存続要請」の署名を始めることを決め、運動を開始した。また、生徒会も「存続希望」の決議文をあげ、存続の思いをはがきに書き、県会議員や県教委に送る行動をスタートした。

  7月11日三浦海岸駅(生徒4名、職員9名、保護者8名、卒業生1名、横須賀、平商からの応援3名)、7月12日三崎口駅(生徒2名、職員8名、保護者8名、卒業生2名、横須賀、翠嵐、希望ヶ丘、城内、向工、神田からの応援6名)で、市民や観光客の方に署名を訴え、2日間で1550人の署名を集約。訴えれば、ほとんどの人が「通えなくなってしまうのでは困りますね」「働きながら学ぶ人のために残してやるべきですよ」と快く署名に応じてくれた。 署名は、さらに各種団体、労組に要請され、今県民のなかに急速に広がりつつある。

     県教委は、憲法・教育基本法の「就学保障の立場」に立つべき

  7月16日、三崎高校定時制分会が県教委と交渉。18日、「守る会」は第1回分の署名をもって、県議会に陳情。28日、県議会文教委で「三崎定時制の存続を求める陳情」の審議がされるが、結論が出ず9月議会への継続審議となる。8月4日には、「守る会」代表と三浦市議会議員とで県教委交渉をもつ。この中で、県教委総務室などは、この2年間の三崎定時制への入学者数が、県教委が県民からの声を聞くことなく一方的に決めた募集停止の「基準」に合致することを強調することに終始した。

  こうした姿勢は、「教育の機会均等や学習権の保障、就学保障」を定めている憲法や教育基本法に反するものである。県教委は、4年前の川工(定)募集停止の際には、「30分以内に定時制高校がない場合には、入学者が4年間10人以下となったときに募集停止」とするいう基準案を示していた。しかし、強引に川工(定)を募集停止とした後には、30分以内に同一学科があるかどうか、30分以内に定時制があるかどうかなども一切無視し、県内7地区8校の重点校以外は、「入学者2年連続15人以下」という全国的にも突出した機械的な「基準」(県教委内で、密室的に決めた)を適用してきている。

  分会との交渉の際に、県教委は「効率とは言いたくないが、お金の制約はある」と財政上の問題の前では、「就学保障の立場」は捨てざるえないかのような発言をしている。憲法、教育基本法を第一に守るべき行政がこうした姿勢を示すことは、きわめて問題である。

  また、三崎高校定時制は働いている生徒が多くないから、本来の定時制の役割からいうとどうなのか、今在籍しているような生徒は今後は全日制でその枠組みを変えて受け入れるなどということを県教委は言う。しかしまず、どういう枠組みに変えるのか、そうした枠組みの変えた全日制をどこに作り、本当に今三崎定時制にいる生徒がそうした全日制に入学できるのかどうかということがはっきりするまでは、三崎定時制はなくせないはずである。

  さらに、こうしたことが現実的なこととして保障されたとしても、なおかつ働きながら学ばざるをえない生徒の問題は依然として残っており、その解決も必要である。こうしたことをなんら保障せず、まず最初に「募集停止とする」というのでは保護者、生徒、県民の理解は得られない。

  県教委総務室は、以下の保護者、生徒の声を真摯に受け止め、募集停止の方向を見直し、保護者、生徒、地元県民が本当に納得するまで話し合いを続けるべきである。 「今、わが子が一生懸命働いている姿を見て、本当にこの学校を選んでよかったと思っています。・・・・・年齢に関係なく行ける学校、勉強したいと思う時に行ける学校、最初は辛いが卒業してわかる学校の良さ。夜間の学校は利用しやすいのが一番」  「三崎の城ヶ島方面に住んでいる人達が定時制に(働きながら)通うことになったどうなるでしょうか。横須賀まで大変で通えないと思います。本当に終わらないでほしいです。」


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