1996年1月


広く県民に定時制を知ってもらおう

社会人入試を前に、統廃合・縮小は問題が多い



 1996年度の定時制入試が、3月14日に行われます。昨年(1994年)の末に、川崎工業高校定時制の今年度に続く募集停止と県立川崎高校定時制の1学級減をもりこんだ募集要項が発表されました。またしても、川崎地区の県立定時制が縮小の対象になりました。

 来年から定時制では、社会人を特別対象とする入試が始まります。中学卒業後、仕事を続けている人ならば、新規中卒者と同じ教科の学力試験を受けることなく、作文で替えることができるようになります。これまで、英語や数学という試験科目を前に尻込みしていた人に、受検しようという気持ちを起こさせる入試といえます。

 今後は、この社会人特別入試によって、定時制の入学者増も予想されます。それを前に、このような機械的な統廃合・学級減を強行することは、きわめて問題が多いと言わざるを得ません。
 

定時制教育を求めている人は、潜在的に数多い

 「ニュース」18号(1994年2月16日)で明らかにしたように、新規中卒者のなかで高校教育から除外されている人が約4000人、また毎年全日制と定時制高校から退学する人が約4000人います。こうした状態が、こうれまで何年も続いてきたわけです。高校教育を保障されてこなかったこうした人のなかから、少しずつ定時制への応募者が現れてきています。ここに、ここ数年、新規中卒者の急減という事態にもかかわらず、定時制への応募者数が横ばいという状況が続いている要因のひとつがあります。

 社会人入試は、高校教育から締め出されてきた人に「高校でまなんでみようか」という気持ちを起こさせるのではないでしょうか。社会人のなかには、生涯学習の一環として、勉強し直してみようと考える人もいるかもしれません。こうした多くの県民の学習や教育に対する期待・要求に行政は真剣に答える必要があります。

夜間定時制高校を、大宣伝しよう

 都立高校には、宣伝・PR費として1校あたり30万円が支給されています。都立のほとんどの定時制高校は、この費用を使ってカラーのポスターやリーフレットを作り、活用しています。

 また、同じ県内でも川崎市や横浜市では、各校に募集対策費を支給しているだけでなく、市の広報やバス・電車の中吊りパスター、駅・区役所掲示板の活用など、多種多様な、また精力的な宣伝・PRが行われています。

 これに比べて、県立の定時制はどうでしょうか。県教委は「定時制だけ特別に宣伝するわけにはいかない」などと言っています。しかし、社会人入試を前にした今年こそ、県の広報をはじめ、さまざまな手段を使って広く県民に夜間定時制高校をPRすることこそ、行政の責任ではないでしょうか。

『ニュース』第23号(1996年1月)

トップ(ホーム)ページにもどる