1995年9月16日
給食費・教科書の国庫補助削減問題
「すべての生徒への補助」を守らせよう
教科書給与費・給食費補助削減の本格実施を来年度にひかえ、県が来年度当初予算要求策定のまとめにはいっているこの時期、その行方が注目されている。
そこで、この問題のもつ不当性をあらためて示し、解決の方向性を示したい。『教育基本法』は、第3条で「教育の機会均等」をうたい、第10条Aでは教育行政に「教育諸条件の整備確立」を義務付け、さらに第11条で「この法律に掲げる諸条項を実施するために必要がある場合には、適当な法令が制定されなければならない」としている。
そして、この第11条により制定されてきたのが『定通振興法』、『夜間課程給食法』、『教科書無償措置法』(略称)の三法である。
『定通振興法』は、「地方公共団体は、できるだけ多数の勤労青年が高等学校教育を受ける機会を持ちうるように努めなければならない」とうたい、『夜間課程給食法』は変則な日課で修学する青年の「身体の健全な発達に資する」ことを目的としているなど、上記の教育諸法は行政の責務として、青年の高等課程の修学を厚く保障しようとしているのである。
それに加え、「教育の無償化」が今日の国際的な流れであることを、批准された『子どもの権利条約』第28条が示している。
ところが、今回の文部省通知は、「働く意思」の有無をある一時点で査定して生徒間に補助の差別を持ち込み、教育の場から生徒を排除しかねない − 、そんな措置を各県教育委員会に指令しているのである。違法であり逆行である。
それでは、生徒の立場に立った解決を見出すには、どうすればよいか。
(中略)
現実には、この一カ月の取り組みこどが、その解決を左右すると思われる。
現行制度の維持は、県教育委員会の高校教育課、学校保健課の来年度予算要求の内容いかんにかかわるが、それが決まるのは10月頃。つまり、この課の予算要求作業に、教育現場の声を反映させる運動をいま展開することこそが大切なのである。この後10月下旬に、経理課で教育委員会全体の予算の総合調整がはかられ、これをもとに、11月中旬には県の財政課との予算折衝が始まるのである。
「ヤマバ」は11月でも、予算が確定して、現場の繁忙な2月でもない。現場である。
神高教組合大会決定をふまえ、「現在無職の生徒も働く意思があるとして、全員に補助を保障すること」を要求の中心に据えて、教育長への再度の要求、現場教職員や保護者の署名をとり揃え、組合上部団体の違いを超えた首都圏高教組との連帯行動、定通振興会会長、知事、県議会議長、各党派の県会議員等への要請行動、数次の県当局との拡大交渉をただちに組織し、「ヤマバ」に見合った闘いを展開すべきであろう。
『ニュース』第21号(1995年9月26日)