1995年5月15日

   
                 定時制教育の充実と発展は           

研修権を活かしてこそ

『連合路線の見直しを ニュース』第19号(1995年5月15日)より



 この4月(1995年)から、第4土曜日も学校5日制休業日となりました。これを一つのきっかけにして、またしても定時制教職員の研修権を侵害し、一部取り上げる動きが見られます。
 

研修権の一部取り上げ

 学校5日制は、学校での学習日を週1日減らすということだけをめざして導入された制度ではありません。諸外国から批判されている日本の長時間労働を、学校現場において削減していくことが大きな目的といえます。教職員にとっては、第2、第4週の土曜日は休業日です。その土曜日に研修したらよいと言うことは、「休業日に働け」ということと同じになります。

 そこで最近は、休日が1日増え、その分生徒と接触する日が1日少なくなったから、その週は研修をとらないようにと言うことが多くなっています。これは、まさに研修権の一部取り上げといえます。
 

「教育公務員特例法」で保障されている研修権

 教員の研修権とは、休日が1日増え、その分生徒と接触する日が1日減ったのだから、この際一部侵害されてもよいほど脆弱なものなのでしょうか。
 教育公務員特例法は、次のように一般公務員とは異なる教員の研修権を保障しています。


・教育公務員は、その職務を推敲するために、絶えず研究と修養に努めなければならない(19条1項)
・教育公務員には、研修を受ける機会が与えられなければならない(20条1項)
・教員は、授業に支障がない限り、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる(20条2項)

 ☆本属長の承認を受けてという条件は一種の形式的手続きにすぎず、校長に代表される学校教師集団の確認を受けてという意味に条理解釈されるから、校外自主研修が校長の一存に委ねられることはありえない(『国民教育小事典』
 

 今日、有力な教育法学説はこの20条の法理に着目して、ここに教師の「勤務時間内校外自主研修権」が保障されていると解しています。


研修権を活かすことこそ

 近年、定時制にはLD(学習障害)や知的障害を含む障害児、外国人なども入学し、従来の教育内容、方法では対処できない現状に直面しています。そうした実状を打開し、定時制教育を発展させていくためには、これまでにも増して自主編成した内容、新たな教材、工夫した教育実践が求められています。そのためにも、専門的な知識・技能をはじめとする研修を、教職員が自主的に積んでいくことはきわめて重要です。

 教育公務員特例法で保障されている研修権を守り、活かしていくことこそ、定時制教育を充実、発展させていくことになると確信しています。

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