2026年6月10日
勇気をもつこと
神奈川県立夜間定時制高校 2年生(生活体験発表会当時)
みなさんには、「勇気を出して行動してよかった」と思える経験はありますか?
私は中学生の頃、不登校でした。
引っ越し先の新しい環境に馴染めず、人と関わることに苦手意識があったからです。毎日をだらだらと過ごし、外にも出ず、人と会うのを避けているうちに、ますます内気になっていきました。中学3年生の進路を考える時期。最初は通信制高校への進学を考えていました。
しかし、「もう一度、毎日学校に通って頑張りたい」と思い直し、定時制高校を志望しました。そして「少しでも人と関われるようになりたい」という目標をもって、神奈川S高校に入学しました。
高校に入学してからも人見知りは相変わらずで、なかなか自分から話しかけることができませんでした。
友達はできたものの、初対面の人にはどう話しかければいいか分からず、入学から数か月たっても、不安な日々を過ごしていました。そんな私に転機が訪れたのは、高校1年生の夏休みです。
私は、単位修得のために「地域に学ぶフィールドワーク」と「ボランティア体験」の夏期集中講座に参加しました。
フィールドワークでは、科学館や資料館などでさまざまな場所に行きました。中学時代、ずっと家に引きこもっていた私にとって、すべてが新鮮で楽しい経験でした。
しかし、苦労したこともありました。それは、一人で目的地までたどり着くことです。電車の乗り換えや地図を見ながらの移動など、普段とは違う場所に一人で行くのは方向音痴の私にとっては大変でした。
とある日のフィールドワークで、道に迷い、途方に暮れていたとき、近くで犬の散歩をしている方を見かけました。私は「集合時間に遅れてしまう」と思い、勇気を振り絞って道を尋ねてみました。するとその方は快く道案内をしてくださり、さらにその途中、色々な話をしてくれたのです。
無事に目的地に着いたとき、私は「声を掛けて良かった」と心から思いました。勇気を出して声をかけたことで集合時間に間に合い、初対面の人とも楽しく会話ができた。この経験が、人と関わることへの不安を少しずつ和らげてくれました。そして、人と関わることに前向きな思いが生まれました。
もう一つの転機は、障害のある方々が利用する施設でのボランティア体験です。最初は利用者さんとどう接していいのか分からず、自分から話しかける勇気が出せませんでした。
しかし、職員の方に間を取り持っていただいたおかげで、少しずつ会話ができるようになりました。そして、勇気を出して自分から利用者さんに話しかけてみると笑顔で応えてくださり、一緒にものづくりを楽しむことができました。それがきっかけで、他の利用者の方々とも会話が増え、みなさんと仲良くなることができました。
ここでも、「勇気を持って一歩踏み出すことで、人とつながることができる」、そう実感できたのです。この2つの経験を通して、勇気を持って行動することの大切さを学び、人と関わることに前向きになれた私は、少しずつ変わることができました。いつも図書館で会う先輩に自分から挨拶し、一緒に勉強するような仲になれたこと。
また、以前の私なら絶対に逃げていた、全校生徒の前での発表に挑戦したこと。勇気を出して挑戦してみた結果、人前で話すことへの抵抗がなくなり、自分に自信がつきました。そして、自信がついたからこそ、今こうしてみなさんの前で話すことができています。
今の私の目標は大学進学です。大学では新しい環境や初めて会う人たちとの出会いが待っているでしょう。また不安を感じることもあるかもしれません。それでも、この経験を思い出し、勇気を持って一歩踏み出すことで、きっと人との関わりを広げていけると信じています。高校生活を通して、私が学んだのは「勇気」を持つことの大切さです。勇気といっても、何も大それたことをする必要はありません。
「新しい環境に飛び込む勇気」
「道に迷ったとき、知らない人に声をかける勇気」
「どう話せばいいか分からなくても、自分から一歩踏み出す勇気」
小さな勇気の一つ一つが、私が前に進むための大きな一歩となり、私を新しい世界へと導いてくれたのです。
もしみなさんのなかで、新しい一歩を踏み出すのをためらっている人がいるなら、私のようにほんの少しだけ勇気を出してみてください。その小さな一歩が、みなさんの未来を変える大きな力になるはずです。
ご静聴ありがとうございました。
(神奈川県定時制通信制高校生活体験発表会において発表された原稿を、本人の了承を得て掲載しました)
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