2024年1月12日

  2023年3月に挙行した

ある夜間定時制高校卒業式における答辞

 

 桜のつぼみもふくらみ始め、春の訪れが感じられるようになった今日、私たち23名は卒業証書を胸に、鵜野森に近いこの学舎から翔び立ちます。

 校長先生をはじめ、ご来賓の方々、在校生の皆さんからのお祝いと激励のお言葉に、卒業生を代表として感謝の気持ちを表したいと思います。

 三年前の春、全世界が新型ウイルスの拡大に怯え、国内では緊急非常事態宣言が発令中、本校の門をくぐってきた私たちは、ほぼ2ヶ月間の自宅待機のあと、今まで体験したことの無い不安の中で、夕方から授業がはじまる定時制高校生活のスタートを切りました。

 一年次を振り返ると、「マスク・検温・消毒・ソーシャルディスタンス」が連呼される中で日々を過ごした思い出が強く、春の遠足、体育祭、文化祭など多くの行事が中止になりました。しかし、秋の遠足で「みなとみらい」行って、ようやくクラスの垣根を越えた交流が活発になった印象があります。

 いろいろ制限がある中で時間は大切に過ごしたい。今この瞬間を大切に記録として残しておきたい。そんな思いもあり、私は写真部に所属しました。定通作品展では2年連続個人で「金賞」を獲得できたのは、顧問の先生方や一緒に活動してくれた部員のおかげであり、一生忘れることはありません。

 二年次生になり、学校生活も徐々に慣れてくるにつれて、授業内容も次第に難しくなっていき、時折、心が折れそうにもなりました。そのようなとき、本校の先生方は、私たちの気持ちをいち早く察して、すぐに声をかけてくださいました。放課後から下校時刻までの短い時間であっても、真剣に悩みを聞いてくださり、たくさんのアドバイスをしてくれました。

 本校の良さを後輩に伝えていきたい、もっと行事を活発にしたいという思いから、私は生徒会長に立候補し、みなさんから信任を得て、学校行事における代表生徒として活動してきました。中学までは引っ込み思案だった私は、2年間の生徒会活動で、自分の殻をやぶることができ、自信が付いてきました。

 三年次生になり、体育祭、スポーツレクリエーションは2年連続で開催ができたこと、当然うれしかった。ですが、なにより初めての文化祭を開催できたこと、そして北海道に2泊3日の研修旅行に行けたことは最もうれしい思い出になりました。私はいつかまた北海道に行って、アイヌ文化のその後やノーザン牧場でのSDGsへの取り組みについて、もう少し探求してみたいなと思いました。

 私たち卒業生はそれぞれが思い思いに大海原に出ていきます。国際社会を見据えた幅広い視野が求められるだろうと覚悟はしています。自分をしっかりと持ち、大波にぶつかっても転覆しないようにしっかり舵を切り、困難を乗り越えなくてはなりません。

 もっと物事に感心と興味を持ち、読書に接して知識を増やし、相手を思いやる気持ちを持ちたいと思います。進路先でも先輩方のアドバイスをよく聞き、良いものはどんどん取り入れて、力強く前進し、成長して行くことを誓います。

 さて、後輩のみなさんに直接この場にて挨拶することができませんが、生徒会長さん、在校生に「卒業生が、ありがとうございました。」と言っていましたと後輩に必ず伝えてください。また、できれば、四階に在籍している夜間中学生たちのこともよろしくお願いします。生徒総会でも述べましたが、中学生との交流があまり持てなかったことは心残りです。

 本校で培った「Chance Challenge Creative」という精神を支えに、みんなが誇りをもって、私たちに続いて本校を飛び立ってください。卒業生として、後輩たちにお願いします。

 最後に、ご臨席下さった来賓の方々、校長先生をはじめ先生方、両親、本当にありがとうございました。皆さんのご健康とご多幸、また母校の限りない発展を心からお祈り申し上げ、ここに卒業生一同の感謝の気持ちをこめて、答辞とさせていただきます。
                           

令和五年三月十七日 卒業生代表

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