2021年6月10日
 

「ゆきとどいた教育をすすめる神奈川県実行委員会・請願署名」報告

12月3日、少人数学級・教育予算増額・教職員の増員・県立高校の
統廃合見直し等を求め、県議会に17,262筆の署名を提出


国レベルでは、「35人学級」に向けての動きが始まりました

− 県立高校分の集約数は5年ぶりに1500を超え、県向け1,796筆、国向け1,727筆 −

 

「保護者や学校現場の生の声が聞けて良かった。
  岩盤が動き始めた。少しずつ社会システムが変わってきている。」と県担当者

 12月17日、萩生田文科大臣は「2021年度から5年かけて35人に引き下げる」と発表し、菅首相は2月15日の衆院予算委員会での畑野議員の質問に対し、「小学校で実施する35人学級の教育効果などを検証し、その結果も踏まえ、(中学校でも)望ましい指導体制のあり方について検討していきたい」と答弁し、中学校での35人学級の検討を明言しています。

 また、15道県は、国の枠を超えて小中学校での30ー35人学級を拡充する事を表明しています。

 1991年度の40人学級実施から30年。高度経済成長期から長年続いた経済効率優先の教育政策が、少しずつ変わり始めています。

日本は、OECD諸国で最低の教育条件
  OECD諸国平均の教育予算に増額して「ゆきとどいた教育」の実現を

 日本では、戦前は「富国強兵」、戦後は「日本株式会社」のための「人材教育」が主流で「競争原理」が幅をきかせています。「国家の役に立つ」とか「会社で有能に働く」など、子どもを「材」と見て、社会の主人公である「主権者」として捉える見方が弱いのも事実です。

 今、世界では民主主義の広がりで「教育は人権」という考え方が一般的になりつつあります。

 「一人ひとりを大切にする教育」、「ゆきとどいた教育」は人類共通の国際社会の目標です。


県議会では、少人数学級の必要性は
認めながらも請願は不採択に

 請願署名は12月2日の提出集会を経て14日の文教常任委員会、17日の本会議で審議されました。2日の提出集会には高校生も参加し、紹介議員となった日本共産党の君嶋ちか子、上野たつや、石田和子の各議員も挨拶に駆けつけました。

 14日の文教常任委員会では新日本婦人の会の利光さん、山口さんが署名された人々を代表して口頭陳情を行い、コロナの体験も踏まえ、親の立場から少人数学級の必要性を切実に訴えました。

 本会議では、共産党の君嶋議員が、「請願を採択し、県として少人数学級に踏み切るべきだ」と主張しましたが、「県には金がない。少人数学級実現について全会一致で国への要請書を上げている。」との理由で、多数決で請願は「不採択」となりました。

文教常任委員会 口頭陳情
新日本婦人の会 神奈川県本部   利光さん・山口さん 

 私が少人数学級の必要性を感じたのは2年前、子どもが小学4年生になった時でした。心も身体も大きく成長する時期で、子ども自身がとても不安定になり、親の対応の仕方を考える日々でした。

 授業参観などで教室の様子を見ても、身体が大きくなり、机と机の距離が狭く、子どもや先生が自由に動き回るスペースがありません。一人一人の成長の変化や、不安を先生が感じ取れる余裕もありませんでした。

 学年最後の懇談会の時、私と同じ悩みを持った保護者が何人かいました。学年が上がれば上がる程、少人数で子どもと先生がしっかり関われるようにしてほしい、と感じています。

 そして、このコロナ禍で行われた分散登校での少人数学級が、子ども達にも先生達にも、いい効果があったという事が、休校中から分散登校までの期間に実施したアンケートではっきりしました。

 落ち着いて授業に取り組むことができ授業に集中できるようになった、発言などが活発になり授業への参加意欲が出るようになった、今まで登校できなかった子どもが登校できるようになった、先生からも子どもがよく見えるようになったと声が聞かれました。

 いよいよ動き出した今、多様な子どもたち一人一人が大切にされる少人数学級の実現を強く求めます。
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