2020年12月27日
過大規模校(一学年9〜10学級)につながる高校統廃合をやめ、
教育財政節減ではなく、20人学級を展望した30人学級の即時実施を
「県立高校改革実施計画」の見直しと
10月1日、かながわ定時制・通信制・高校教育を考える懇談会(「考える会」も構成団体)は、上記の要請書を県教育委員会に提出しました(下の要請項目参照)。
新型コロナウィルス感染症の拡大にともなう
社会の変化に対応した高校教育を求める要請書
新型コロナウィルス感染症の拡大で、ソーシャルディスタンスが求められるなど、私たちの社会生活が大きく変化しています。また、経済格差が広がるなど、高校生の家庭環境についても大きく変化し、変化しつつある社会に対応できる県立高校・高校教育が求められています。
厚労省がすすめている、「2mから最低でも1m」の身体的距離を確保するためには、まず30人以下学級(1mの身体的距離がとれる)の実現が必要です。その実現のためには、「高校数の確保」が必要です。
40人×6学級を30人で展開すると8学級となります。現在の8学級募集校は11学級、9学級募集校は12学級となり、施設の面から、かつて一学年12学級(全校で36学級)を展開していた大規模校でのみ可能ですが、これらの学校の多くでは養護学校(特別支援学校)の分教室が併設(全県で20校)されており、6教室分が分教室に使われて、それもできません。
2016年から始まった「県立高校改革実施計画」の中心となっている「教育財政節減のための高校統廃合」は将来の社会に禍根を残します。これ以上県立高校を減らしてはなりません。生徒の命と安全確保のためにも、20人学級を見通した少人数学級、当面30人以下学級の計画に早急に取りかかる必要があります。
少人数学級は世界の趨勢、公的投資の増額で
少人数学級は「コロナ対策」だけではありません。OECD諸国で見ると、他の国は小・中・高ともに25人以下学級が主流となっていて、日本の「40人学級」は突出しています。
生徒一人ひとりを大切にする教育を
また、GDP比公財政教育支出でも、日本の2.9%に対して、OECD諸国平均では4.1%、北欧のノルウェーは6.4%、アメリカは4.2%、韓国は3.6%。OECD諸国平均と日本との差は1.2%、約6兆円にもなり、20人学級や無償化など様々な事が実現できます。
「県立高校改革実施計画」では「生徒個々に応じた教育」、「質の高い教育」を掲げていますが、その実現には少人数教育は欠かせません。「教育財政の節減」ではなく、「教育への公的投資の増額」が必要です。
「県立高校改革実施計画」の見直しと新型コロナウィルス感染症の拡大にともなう社会の変化に対応した高校教育を求める要請書
【要請項目】
1.全日制高校および定時制高校の統廃合を行わないこと。
2.20人学級実現に向けて、少人数教育の段階的実施計画を策定すること。
3.全日制高校進学率93.5%以上を早急に実現すること。
4.高校教育の完全無償化を実現すること。
5.一学年8クラス(1クラス40人)を超える高校については、校舎施設の制約上、少人数学級化が困難となるため、8クラス以下にするよう、クラス数の削減を進めること。
6.また、過渡的にやむを得ず8クラス以上となってしまう学校や校舎施設の不足する学校については、プレハブ校舎の増設など、校舎施設の整備を行うこと。
7.ICT教育について、人と予算の充実を図り、生徒の家庭環境による格差解消に配慮しつつ、オンライン授業も可能となるよう教育条件を整備すること。
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