2020年7月31日
『3密』推進!? 県立夜間定時制18校を5校に削減?
「県立の夜間定時制を18校から5校に減らす計画が県で検討されている」という情報が一部の校長から報告されています。
「県の実施計画の5つの地域(下表参照)に、夜間定時制は各1校」というものです。現在進行中の「県立高校改革実施計画」では『財政の縮減と質の高い教育』を柱に、全日制高校の削減を進めてきました。
2020年3月に終了した「Ⅰ期計画」で「4校・1分校」を削減、この4月から始まった「Ⅱ期計画」では「4校」の削減を予定し、2024年度から始まる「Ⅲ期計画」を含めて、2016年4月から2028年3月の間に「20〜30校」を削減する計画です。
夜間定時制の統廃合計画は、2022年秋に発表予定の「実施計画(Ⅲ期)」に盛り込む予定とのことです。
いまの定時制こそ、 『新しい生活様式』に沿った授業形態
ここ数年、夜間定時制の入学者は減少し、定員充足率も「1クラス35人」の定員に対して30〜40%程度で各校で15人程度の学級編成になっています。
しかし、そもそも「定時制の募集クラス定員35人」という規定に問題があります。全日制の40人に比べて少ないものの、欧米など高校の国際水準は25人です。ちなみに、今年から募集が始まった横浜国際高校の国際バカロレアコースでは25人定員です。
また、この間の「コロナ対応」で、厚労省は「感染防止」のために、人と人との間に2m程度(最低でも1m)のソーシャルディスタンス(フィジカルディスタンス)を推奨し、文科省も40人学級を2分割する「1教室20人単位」での授業再開を通知して、神奈川を始め各県の小・中・高校で行われています。現在の夜間定時制は理想的な環境にあります。
夜間定時制統廃合は、人権保障の観点からも許されない
夜間定時制には、大集団になじめず小学校や中学校で不登校、いじめにあった生徒、病弱な生徒、精神的疾患を持つ生徒、家庭の経済状況が困難、日本語に不自由、など様々な生徒が学んでいます。
夜間定時制は、全日制ではカバーしきれない、高校教育の「セーフティネット」でもあり、集団教育だけでなく、個別の対応が必要です。それに応えるには、15人程度の少人数学級は必須です。
また、通学の条件もあります。夜9時を過ぎるとバスなど公共交通機関の便が極端に悪くなります。神奈川県内どこに住んでいる生徒にも同じように高校教育を保障するには、「小規模・分散」は夜間定時制には絶対に譲れない条件です。
県立の夜間定時制18校は現状のまま維持し、全日制の統廃合も見直して、今後の「感染対策」にも対応できる少人数学級を、定時制、全日制も含めた高校教育全体で進めて、「新しい生活様式」を実現すべきです。
神奈川県内の夜間定時制高校(2020年4月現在)
横浜北東・川崎 横浜南西 横須賀三浦・湘南 県中・県西 県央・相模原 計 県立 向の岡工、川崎
翠嵐、神工希望ヶ丘、磯工
横須賀、追浜
湘南、茅ヶ崎小田原、城北工、高浜
伊勢原、秦野総合津久井、総合産業
厚木清南18 市立 川崎、橘、高津
総合科学戸塚、横浜総合
横須賀総合
7 計 8 4 5 5 3 25
学級定数とソーシャルディスタンス
文科省補助基準の普通教室の面積 74m2 =(8m×9.25m)として作成