2020年7月9日

 

生徒、教職員の健康と生命を最優先する教育活動を

 
 神奈川県教育委員会が5月に示した『学校の再開等に関するガイドライン』は、「子どもたちの健康には、より慎重に対応する必要がある」、「感染防止に万全の措置を講じる」と記しているものの、来年3月までに「学習指導要領」上の教育内容を終えることにとらわれている点が見られます。 

土曜授業と夏休みの大幅縮小は問題がある

 ガイドラインは、各学校の判断として土曜授業の実施を可能にしました。しかし、土曜日に出勤しても、他の曜日や夏休みなどに振替休日が取れないことが懸念されます。また、土曜日に授業を行うとその分通常の曜日の指導態勢を見直さなければなりません。

 また、年間の「休み日数」を現行の60〜55日から40〜35日に削減することが示され、夏休みが大幅に縮小されることになりそうです。エアコンのある教室でも、換気の徹底のためには窓を開けなくてはなりません。

 7月末から8月の猛暑期間中のマスクをつけた授業は熱中症の危険が増します。夏休みは、大幅縮小すべきではありません。
 

最上級学年優先、下級学年は1〜2年かけて遅れを取り戻す教育活動を

 これからの教育活動は、生徒の健康に重きを置く必要があり、「学習指導要領」が優先されるべきではありません。

 ただ、最上級学年は卒業という期限があるので、進路指導をはじめ重点的に教育を保障していく必要があります。その場合も生徒の健康が第一であり、入試の実施時期と試験範囲について適切な配慮が行われるように強く文科省に要求していかなければなりません。

 下級生については、2年生は卒業までまだ1年10ヶ月、1年生は2年10ヶ月あります。この期間全体を見通し、その期間に通常の2年、あるいは3年の教育活動を行うように「学習指導要領」を弾力化して教育内容を精選すべきです。

 行事についても、現時点で即中止にするのではなく、延期や内容の変更など様々な検討を加え工夫していくことが求められます。

教職員を緊急に増員して、生徒の健康と学習の保障を

 生徒や教職員への感染防止のためには、日々の清掃、消毒が欠かせません。また、毎日の検温、健康チェックが必要であり、体温が高い生徒を保健室に待機させるなど、今後はこれまでにない業務の負担が教職員にかかってきます。

 『密』を避け身体的距離を確保するためにも、少人数授業が求められており、教員の大幅増員が必要です。さらに、養護教諭を緊急に増やし、全日制・定時制ともに通年2名態勢にすべきです。

 また、清掃・消毒を徹底するためにも現業職員を各校1名増員すべきであり、夜間定時制には終業時刻まで勤務する職員の配置が求められます。スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、そして教員の業務を補佐する支援員の増員も必要です。

 100年に1度ともいえる今回の新型コロナウイルスの非常事態にあって、これまでの「学習指導要領」にとらわれた教育に固執するのではなく、生徒、教職員の健康と生命を最優先する教育活動を創意工夫していくことが求められています。

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