2019年8月13日


教育再生会議 高校普通科「改革」を提言

神奈川の「高校改革」における失敗と差別化を全国に広げるのか

今進められている「県立高校改革実施計画」の見直しを求めよう



コース制など神奈川の高校多様化は失敗し、見直しをされた

 神奈川県では、高校の多様化をめざし、普通科の下に「国際教養コース」や「体育コース」、「福祉コース」など何種類もの専門コースがつくられました。しかし、専門コースは専門性が乏しく、共通教養を十分に学べないことが明らかになり、入試で定員割れを起こすようになりました。2016年度からの「改革」では、12校の専門コースがすべてなくなります。

 また、県内で初めて普通科高校を総合学科高校に改編し、モデル校として宣伝、県内外から注目されたこともあり、総合学科高校を10校も新設してきました。しかし、神奈川県の総合学科高校は大半が普通科を編成替えしただけで専門性が不十分であると指摘されるようになりました。また、普通科に比べ財政がかかるということから、今回の「改革」で11校ある総合学科のうち5校が普通科や専門学科にもどることになります。

統廃合と合わせ、高校差別化を進める提言

 再生会議は、普通科高校を以下の4タイプに分ける案を例示しています。

@進学や就職などキャリアを自分で形成する力の育成
A国内外で課題を解決し、グローバルに活躍するリーダーの育成
B科学技術分野に革新をもたらす力・人材(イノベーター)の育成
C地域課題の解決を通じた体験的、実践的な学び
 

 この4タイプ案から透けて見えるのは、これまでの進学校をあからさまにエリートやリーダーを養成するAやBのタイプ校として、予算配分を重点化し、施設設備や教員配置で優遇していこうという意図です。

 神奈川では、現在進行している「改革計画」で県立高校を10種類ほどのタイプに分けて、階層化、差別化しています。その中で学力向上進学重点校やバカロレア校、グローバル教育推進校などは左のタイプのAに当てはまり、理数教育推進校や横浜市立のサイエンスフロンティア校などはBに当てはまると思われます。

 それと同時に注意しなければならないのは、今回の普通科「改革」が高校統廃合と合わせて提起されていることです。神奈川では、2000年度から始まった「高校改革」によって、専門コースや総合学科高校、フレキシブル高校などの多様化が推進されるなかで、25校の県立高校が削減・統廃合されました。普通科の多様化が統廃合の隠れ蓑になったといえます。

 自民党の教育再生特命チーム(義家弘介主査など)や教育再生実行会議などは、この神奈川のやり方を全国に広げようとしていると考えられ、全国に警鐘を鳴らすとともに、2016年度から開始されている「改革計画」の見直しを求めていく必要があります。

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