2018年12月28日


  
県市民実行委員会 対県交渉報告
    

過大規模校解消、統廃合反対
  インクルーシブ校への 十分な加配・少人数学級化を求める


 
 11月7日「いのちとくらしと雇用・営業を守る神奈川県市民実行委員会」による教育・文化・スポーツ分野に関わる対県交渉(情報交換)が行われ、「考える会」メンバーも参加しました。県側から、教育局総務室、高校教育課、インクルーシブ教育推進課など20数名、県市民実行委員会側から、神障教組、高校連絡会、小・中学校連絡会、新婦人など約25名が出席しました。


過大規模校は教育条件低下・困難増加1 学年8学級以下と統廃合見直しを強く要求

 現在中学2年生のお子さんがいる保護者から、「今回の計画で県立高校8校が統合され4校が削減されることになり、進路選択が狭められ、交通費も多くかかることになるので困る」という切実な声が出されました。

 また、「計画では全日制進学率を何%と想定して20〜30校削減すると考えているのか、前回の推進計画で6〜8学級を適正規模としていたのを今回それ以上と変えたのは、前回適正と言っていたことが誤っていたということか、小規模校であると問題が多いというが、そんな事実はなく、全国的には4〜6学級が普通である」などの意見が出されました。

 それに対して、「全日制進学率何%」は想定はしていない、少しでも伸ばしていこうと考えているとの回答がありました。これでは前回の計画で25校削減したため、定時制入学者があふれ、進学率が92.5%から88.0%まで落ち込み、現在もまだ回復できていない失敗をまた繰り返す恐れがあります。

 また、「1学年8〜10学級を標準とすることが望ましいという有識者らによる協議会報告(2014年)を踏まえ、1学年6〜8学級以上とすることを基本としつつ、それぞれの学校や生徒の実状に配慮して取り組むこととしている」とのことでした。これに対しては、「9〜10学級以上の学校では、教職員が学年一人ひとりの生徒の状況を十分把握できず、生活指導上問題が多い。現在でも30数校ある過大規模校では、生徒指導で困難をかかえている学校がある」などの意見が出されました。


インクルーシブ教育 十分な教職員確保と11校増設の見直しを求める

 インクルーシブ教育についての質疑では、障がいをもっている子の保護者が、「養護学校に行くかインクルーシブ校にするか考えているが、インクルーシブパイロット校では教職員の追加加配を減らされ、わからない授業を1日がまんして聞くことになるのではないかと不安である、インクルーシブ校では、しっかりとした進路指導のサポートがあるのか心配である、軽度の知的障がいの子に限定しているとはいえ、1学級37〜38人では多すぎる、20名程度の少人数にすべき」と訴えました。

 また、パイロット校3年間の結論をまとめ検証して、県民納得のうえでインクルーシブ校を増設するかどうかを判断し、進めるべきだという意見が出されました。

 さらに、パイロット校3校において、個別授業をリソースルームで行っている学校がある一方、他では保護者や生徒から個別授業(取りだし授業)の要望が出されたのに、「個別授業は行わないという学校方針を知ったうえで入学してきているのでしょう」という教員の対応であきらめたという例が出され、「合理的配慮」を行わないということでよいのかとの追及がありました。

 県の回答は、知的障がいの子の行き場をつくり、就学機会を拡大する、共生社会を実現するというインクルーシブ教育についての一般的な見解が述べられるにとどまりました。また、「合理的配慮」については、当該生徒に対してできる限りのことをすると答えました。

 文書回答には、「すべての生徒をしっかりと支えていくために必要な予算の確保に努めます」と記されているものの、今年度の追加加配が3校で6名と大幅に後退したことと矛盾した内容になっています。


生徒も教職員も過密な時間に追われる  フレキシブルスクールの見直しを

 フレキシブルスクールである厚木清南高校では、午前に2コマ、午後2コマ、夜間2コマの授業(1コマ90分授業)が行われています。全日制の授業が終わるのが午後4時半であり、定時制は午後2コマと主に午後5時半から始まる夜間の2コマを担当しています。

 全日制、定時制ともに、授業終了から教職員の終業時刻まで30分しかありません。放課後の打ち合わせや会議、研修などはいつ、どこでおこなうのでしょうか。近年、全日制では入学生の1割程度が3年間で卒業できず、生徒指導上の問題も少なくない状況にあると聞きます。学校の施設を3課程で利用し、朝から夜まで授業があり、生徒も教職員も過密な時間と空間の中で過ごしています。

 交渉では、3課程一体のフレキシブルスクールで生じている課題を明らかにし、過密時程のフレキシブルスクールのあり方を見直すようにと求めました。

 それに対して、以前に(したがって当然フレキシブルではない)3課程併置校で勤務していたという高校教育課の職員がフレキシブルであるために問題が生じていることに正面から答えず、スチューデントファーストや多様性尊重という県立高校改革の一般論を述べるのにとどまりました。

 

1校当たりの公費図書費 神奈川県14万円  全国平均65万円  県費の大幅増を要求

 「教育の無償化」が叫ばれている中、県立高校の私費負担は他県や横浜、川崎の市立高校に比べて突出して多くなっています。1校当たりの公費図書費についてみると、沖縄が100万円、長野が97万円、全国平均が65万円であるのに対して、神奈川は14万円でしかありません。私費負担を軽減させるために県費の大幅増額が必要であると求めました。

 それに対する県の回答は、図書費等、具体的な額については今聞いたので、すぐには答えられないと述べたため、図書費等、他県と比較した県費額を示すように要求しました。

 この他、「1単位授業35週確保」・「観点別評価」・「定期試験の共通化」・「卒業式・入学式での国歌斉唱の強制」などを押し付けないこと、さらに定数内臨任の解消、そして耐震化工事の促進などを求めました。

トップ(ホーム)ページにもどる