2018年12月16日


 【来年度生徒募集計画】

      目標値91.17%(公立42500人、私立14600人)
         2018年度全日制進学率は90.9%で、首都圏最低(千葉93.1%、埼玉94.3%)

県立高校の削減をやめて公立募集枠を増やし、
私学学費補助対象を年収750万未満に引き上げて
1999年県が約束した93.5%の早期達成を


 9月4日、黒岩知事も出席した公私立高等学校設置者会議が開かれ、2019年度の公私立高等学校生徒募集計画について昨年の91.11%とほとんど変わらない91.17%で合意しました。

 2018年度は、昨年12月に「年収590万以下世帯の私学学費無償化」を発表しましたが、全日制進学率は前年の90.7%から90.9%へと、わずか0.2%の増加にとどまっています。「経済格差拡大」が叫ばれているなか、大幅な私学学費補助の改善が求められています。

 また、県立高校改革実施計画で、今年から磯子、相模原清陵の2校が募集停止(Ⅰ期計画)されました。2021年度から3校(逗子、瀬谷西、相模原総合)の募集停止と厚木商業・厚木東高校の統廃合計画も発表されています。

 2000年から2010年度にかけて行われた「高校改革推進計画」では25校が統廃合されて全日制進学率が1997年の92.5%から全国最低の88.0%(2011年)にまで低下し、その影響は現在まで続いています。このような事態を再びくりかえしてはなりません。


全日制進学率90.9%  
年収590万円未満世帯への私学学費無償化措置があっても昨年比0.2%増にとどまる

 2011年に88.0%と過去最低を記録した全日制進学率は、「公立60%枠」の見直しなどや、国の「高等学校授業料無償化」その後の「高等学校等就学支援金」「高校生等奨学給付金」などの制度改善もあり、少しずつ向上してきました。

 今年の春は、昨年12月に「年収590万円以下世帯私学学費実質無償化」措置が発表されたにもかかわらず、「公私協議会」・「設置者会議」で設定した目標の91.1%を0.2%下回る90.9%で、昨年実績の90.7%から0.2%の改善にとどまっています。

 私学学費補助の改善が「年収590万円未満世帯対象」ではまだまだ不足であることが明らかになりました。東京都をはじめ、多くの自治体が行っているように対象を「年収750万未満世帯」にまで拡大することが求められます。
 

全日制進学率93.5%の実現と県立高校の統廃合をしないよう求める請願書を提出
 県は「求める方向は同じ」としながら「不採択」に

 「かながわ定時制・通信制・高校教育を考える懇談会」は7月、県教委と設置者会議あてに請願書を提出し、7月30日公私協議会、8月7日県教育委員会議で意見陳述も行いました。

 請願について、県は「全日制進学率の向上を目指すという点では、県教委の考える方向と同趣旨である」としながら、「現在の定員計画策定方式で一定の効果がある」として請願を不採択としました。


私学学費補助改善は進学率向上に効果あり 対象世帯を年収750万未満まで拡大を

 昨年も同趣旨の請願を提出していますが同様の理由で「不採択」とされました。しかし、12月になって私学学費補助の引き上げ(590万円未満世帯無償化)を発表し、その結果、私学進学が増えて14435人と目標値の14500人に近い数字となりました。私学の学費が公立と同じぐらいの負担で済めば、私学進学希望が増えることは確実です。

 今年は昨年と同じ「590万円未満世帯無償化」のまま、それを周知徹底することで改善を図るとしていますが、それではいつまで経っても千葉・埼玉並みの93.5%は達成できません。公立枠をさらに増やし、その分私学が減らないように学費実質無償化の補助基準をさらに引き上げる(対象を年収750万円未満へ)努力が必要です。


「県立高校統廃合」をやめて公立募集枠を拡大しながら適正規模の学校づくりを

 公立募集枠(公立中学卒業生数に対する公立高校生徒募集数の割合)は1999年には64%ありましたが、2000年から「25校削減の高校統廃合」が始まるなかで、2010年には60.0%にまで低下し、全日制進学率も88.0%になってしまいました。

 その後、公立募集枠を率(%)で押さえていた考え方をやめて、2013年入試からは公立、私立双方が募集生徒数を出し合って募集計画を立てる方式に変わり、全日制進学率も少しずつ改善してきました。2010年に60.0%に押さえていた公立募集枠を2013年から17年まで少しづつ増やしてきたことが大きく影響しています。

 「全日制進学率93.5%達成」には、公立枠を63%〜64%にすることが必要です。回答書では「実施計画では・・・・必要な定員数を確保した学校数・学級数としている」としていますが、千葉・埼玉並み(93.5%)の進学率を達成しようとする意思は感じられません。

 また、統廃合で学校数を減らしてしまうと現在でも増えている、一学年10クラスや9クラスの大規模校がさらに増えて、教育条件が悪化することは目に見えています。また、将来の25人・30人学級など少人数学級化も考えると、「高校統廃合」は神奈川の高校教育の将来を危うくするものと言わざるを得ません。

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