2018年10月27日


  過大規模校を解消せず8校を統廃合し、インクルーシブ校を11校増設する

県立高校改革実施計画(U期)案に対して、見直し・再検討を求めよう



 県教育委員会は10月1日、2020年度から4年間の「県立高校改革実施計画(U期)案」を公表しました。それによると、横浜南西、横須賀三浦・湘南、県央・相模原の3地域で計8校を4校に統合(4校削減)し、インクルーシブ教育実践推進校をT期計画(16〜19年度)のパイロット校3校に加え、11校を新たに増設指定しました。

「再編統廃合ありき」の削減は、過大規模校をさらに増やす

 実施計画(U期)案は、学校規模を「これまでの標準規模(6〜8規模)以上とすることを基本」として、現状で37校ある9学級以上の過大規模校(一つの学年に9学級以上がある高校)を解消せず、「再編統廃合ありき」という立場を打ち出しています。

 そのうえで、T期計画と同様に全県を5地域に分け、通学時間などを踏まえ、再編統合の対象校を検討しています。しかし、県央・相模原地域が統合4校(削減2校)であるのに対して、中学卒業予定者数が当初見込みより増える横浜北東・川崎地域での0は当然としても、中・県西地域が0ということで偏りがでました(下表参照)。中・県西地域は、通学利便性への考慮や地域づくりの視点から対象外になったと報道されています。

 そもそも、高校はどの地域でも初めから地域の声を受け新設され、地域とともに育ち、地域づくりに関わっており、中・県西地域だけが特別というわけではありません。それを、学校規模を過大にして「再編統廃合ありき」で削減していく計画案は間違いであり、過大規模校をさらに増やすことになります。

地域 統合対象校 統合年度 統合後の設置学科
横浜南西   瀬谷高校・瀬谷西高校 2023   全日制普通科
 横須賀三浦・湘南   逗葉高校・逗子高校 2023   全日制普通科
県央・相模原   厚木東高校・厚木商業高校  2024   全日制普通科・総合ビジネス科  
  城山高校・相模原総合高校 2023   全日制普通科(単位制
  *統合対象校の前者が施設活用校 後者は閉校予定


パイロット校の教育を検証せず、インクルーシブ校を急増させる計画案は誤り 

インクルーシブ教育は、T期計画において2017年度から始まり、まだ1年半しか教育活動は行われていません。この間次第に、パイロット校3校の教育活動が明らかになり、その問題点、課題が浮き上がってきています。

 そもそも、T期計画が始まる前に教育関係者や県民から「インクルーシブ教育に対して充分な研究、検討が行われないもとでの導入は拙速」というパブリックコメントや疑問が寄せられていました。現状は、これらの指摘が的中する事態になっています。

 こうしたなかで、インクルーシブ校を増設するかどうかは、パイロット校3年間の教育実践を検討、検証した後に判断されるべきであるという声があがっていました。そうした意見をきくことなく、インクルーシブ校を11校も増設指定したU期計画案は誤りであり、見直し再検討されるべきです。 

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