2018年5月26日


 定員割れ校の固定化 即、統廃合や入学定員の削減ではなく

30人学級・少人数授業、学校規模の縮小を



 2018年度、神奈川県公立高校共通選抜全日制の競争率は1.19倍で、昨年度の1.20倍とほとんど変わりませんでした。二次募集した全日制は20校で、昨年度の19校とほぼ同じでした(同じ学校で普通科と専門学科の両方で募集する場合2校としました)。

 東京都では、今年度の公立高校入試で大きな変化が生じ、都立高校の30%の学校で定員割れが生じました。今後、都立高校統廃合の声があがるのではと危惧されています。

都立高校の2割  35校が3次募集

 定員割れをしたため二次募集をしなければならなくなったのは、183校ある都立高校のうち57校にものぼりました。追加募集後も、普通科14校、専門学科16校、総合学科1校、定時制(分割した定員に対して)4校が定員を満たすことができず、35校(都立高校の2割)が3次募集をすることになりました(定員割れした場合、東京は3次募集まで行っており、昨年度は1校のみの実施でした)。

 東京都では、2017年度から私立高校生向け奨学金を国の給付分と合わせ、年収760万円(神奈川県は590万円)未満の世帯に平均授業料(年約44万円)まで一律給付しており、これが影響した可能性があります。今後、神奈川県でも更に「私立高校授業料無償化」が広がっていくと、同様のことが起こらないとは限りません。

定員割れ校の固定化回避  十分な教育条件のもと30人学級や少人数授業を

 今春の神奈川県公立高校共通選抜入試で、定員割れを起こした学校、学科とその割合を課程別に比べてみたのが以下の表です。

全日制 定時制
普通科 専門学科 クリエイティブ
スクール
昼間 夜間
定員割れ校数  7校/127校   12学科/69学科   4校/5校   3部/7部   24校/26校 
定員割れ割合 5.5% 17.4% 80% 42.8% 92.3%
 

 全日制での定員割れはここ2年、普通科(クリエイティブを除く)で7〜8校、専門学科と総合学科で7〜9学科ほどです。普通科では、課題集中校や交通の便が悪いところなど、特定の学校、学科に固定されてくる傾向にあります。また、クリエイティブスクールについては、創設当初倍率は高かったものの、近年3〜4校が定員割れとなり、それも同じ学校に固定化されてきています。

 入試で定員割れを起こすと、よほどのことがない限り定員内不合格を出せないため、指導が難しい生徒も受け入れざるを得ないことになります。そうしたことが続くと、生活指導や学習指導が難しい学校、様々な課題が集中した学校というレッテルが貼られ、生徒募集に支障を来すことになります。

 定員割れの学校を固定化させないための手だて・対策が早急にとられるべきです。定員割れが続く学校には、施設・設備、教職員など十分な教育条件を整えさせ、学校規模を縮小することによって30人学級や少人数授業が可能となるようにすることが必要です

 それとともに、定員割れが多くなるとすぐ「統廃合計画」や入学定員削減が持ち上がるのは、極めて問題です。そもそも全日制の学校規模は1学年6学級程度(地方では、4から5学級が普通)がふさわしいといえます。定員割れがあっても、統廃合ではなく、学校規模を縮小することを優先させるべきです。また、全日制進学率を東京、埼玉並に上げるためにも、公立高校入学定員を十分確保することが必要です。

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