2017年11月18日


神奈川県が行った「ひとり親家庭アンケート」から明らかになった

「子どもの教育にもっと充実した支援を」という声


 神奈川県は2016年8月、子どもの貧困対策に関わって、「ひとり親家庭」の現状やニーズを把握するため、「ひとり親家庭」で「児童扶養手当」の受給者を対象としたアンケート調査を実施しました。
 昨年末に発表され結果から、「ひとり親家庭」の厳しい生活状況とこどもの教育に対する親の切実な要求を見て取ることができます。


教育に関わる費用の支払いができなかったことがある

 9割以上の親は就業しているものの、「正規職員」は25.8%で、パート・アルバイトなど「非正規職員」の割合が最も多く48.0%でした。家族全体の1年間の収入は、「300万円未満」が75.7%(「200万円未満」に限定すると44.6%)を占め、「400万円以上」の収入がある世帯は10.2%でしかありません。預貯金については、「まったくない」という人が最も多く、46.0%。「まったくない」を含む「100万円未満」が80.5%を占めています。

 過去1年間に、経済的な理由で支払いができなかったこと、滞ったことについては、 「公共料金の支払い」が26.9%と4分の1以上。次いで「年金・医療・介護の保険料支払い」が19.0%。そして、「家賃等の支払い」(15.5%)とともに、以下のような子どもの教育に関わる費用が続きます。

塾やおけいこごとの費用 15.70%
学校や保育園の給食費 10.30%
学校・保育園・幼稚園の遠足や修学旅行の参加費 10.00%
部活動に関わる雑費(ユニホームや道具など) 7.60%


 

子どもの教育に対する支援を強く望んでいる

 ひとり親になったとき困ったこと、また、現在困っていることという問い(複数回答可)に対して、「生活費のこと」が最も多く81.9%であり、次いで、「子どもの養育や教育のこと」が76.7%です。

 ひとり親家庭支援のために、これから拡充すべき(必要)と思う制度を、優先順位の高い順に3つまで聞いた問については、優先順位1位で最も多かったのは「児童扶養手当などの現金給付の拡充」で44.4%でしたが、第1位から3位のいずれかに挙げた人の合計では、「奨学金制度や学校教育にかかる費用の助成・免除の充実」が最も多く、23.5%となりました。ひとり親が、子どもの教育への支援を強く望んでいることが、ここに現れています。そして、これは「自由意見欄」に記された以下の声(下に掲載)にも反映されています。

 この「ひとり親アンケート結果」から求められているのは、「子どもの貧困対策」に早急に取り組むことです。なかでも特に、義務制と同様な「就学援助制度」を高校にも創設することや高校生に対する給付型奨学金を拡充することは待ったなしの状況といえます。

○ 高校からの進学資金が不足するので何らかのサポートをしてほしいです。
○ 長女が春から私立高校に入りました。覚悟はしていましたが、予想以上の費用がかかっています。現在仕事を増やすための活動をしています。給付型の奨学金を切に望みます。弟には希望校の選択を狭めなくてはいけなく、かわいそうな思いをさせそうです。
○ 通学にかかる定期代を支援してほしいです。
○ 今の貸付制度では、貯蓄をしていても、入学に必要な金額に満たないため、親がなんとかすると説得しても子ども自身が進学に消極的になります。
○ 修学旅行のときに、その旅費の支払いが精一杯で、お小遣いを充分持たしてやれなかったです。
○ 中学生になると、高校受験があり塾に行っている子が殆どで我が家でも行かせています。部活動にも入っていれば、幼少時や、小学生の時より、お金はかかります。考慮してもらえると助かります。
○ 資金不足で子どもを塾に行かせることができません。子どもは、下校後は家事の手伝いをして一人で過ごしています。公立高校の受験に失敗したらどうしていいかわからなく、崖っぷちです。

「ひとり親アンケート結果」(2016年8月 神奈川県)の「自由記入欄」より作成


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