2017年5月24日
県教委「通級指導」実施校を今年度中に指定し、来年度導入を表明
定通およびクリエイティブでの実践を踏まえ、教育条件(教職員増等)の抜本的改善を!
2月16日、県教委の桐谷教育長は県議会本会議において、「高校に進学する生徒の多様な教育的ニーズに対応するため、県立高校に『通級による指導』を導入する。そのため、2017年度中に複数の県立高校を指定し、2018年度から開始する」との方針を明らかにしました。
「通級による指導」とは何か
「通級による指導」とは、発達障がい(学習障がい、注意欠陥多動性障がい、自閉症、アスペルガー症候群など)や言語障がい、弱視、難聴、肢体不自由、病虚弱の児童・生徒が、通常の学級に在籍しながら、週に1〜8時間(学習障がいと注意欠陥多動性障がいは月に1〜8時間)障がいに応じた指導を別教室(通級指導教室)で受ける教育で、すでに小・中学校では行われています。
下の表のように、ここ10年間で「通級による指導」を受ける児童・生徒は、小学校で2倍、中学校では5.6倍と急増しており、これらの子どもたちに対する高校教育のあり方が課題になっていました。こうした現状を受け、昨年12月に学校教育法施行規則が改定され、高校においても「通級による指導」が行われることになりました。
発達障がいの子を受け入れてきた定時制、通信制、クリエイティブスクール
発達障がいは、主に先天性の脳機能障がいが原因とされています。コミュニケーションや認知、運動、学習、社会性などの能力にかたよりが生まれる障がいです。親のしつけ不足や本人のわがままが原因ではありません。多くは知的障がいを伴わないものの、人間関係をうまく築けないことから、集団生活になじめず、「いじめ」の対象となり「不登校」になることがあります。また、勉強がわからないことから学習意欲を失い問題行動をおこし、転学や退学を余儀なくされる事例もあります。
こうした発達障がいの子どもたちを多く受け入れてきたのが、定時制、通信制やクリエイティブスクールです。そこでは、30人以下学級編成、少人数授業、取り出し授業、個別指導などが行われており、今後「通級による指導」を行っていく上で、貴重な教育実践が積み重ねられています。また、国の委託事業指定校である釜利谷高校や綾瀬西高校は、「通級による指導」をこの間実践、研究してきました。こうした実践を踏まえ、「通級による指導」を開始すべきです。
それとともに、「通級による指導」をインクルーシブ教育のなかにしっかりと位置づけ、発達障がいの子の入試や単位認定をどうするのか、生活指導および進路指導をどのように行うのかを十分検討することが必要です。さらに、何よりも重要なのは、専任の特別支援教育コーディネーターやスクールカウンセラーを配置し、教職員を加配するなど、教育条件を抜本的に改善することです。