2016年4月17日
学校は行政の所有物ではなく、県民の「宝物」
財界や国の都合で上から押しつけるのでなく
生徒・保護者・県民・教職員の十分な議論を踏まえた「高校改革を」
1月12日、県教育委員会議で「県立高校改革実施計画(全体)」と「県立高校改革実施計画(Ⅰ期)」が正式決定されました。
「計画(全体)」は2016〜2019年度までの「Ⅰ期」、2020〜2023年度までの「Ⅱ期」、2024〜2027年度までの「Ⅲ期」の計12年間となっていて、「20〜30校の高校削減」と、「指定校による県立高校の階層化」と「総合学科や単位制の削減と学年制への移行」、「インクルーシブ教育」、「学校規模の大規模化(統廃合)」がその目玉になっています。
高校統廃合(削減)は、Ⅰ期、Ⅱ期では5校程度、Ⅲ期では10校以上(12月2日県議会での教育長答弁)としていて、Ⅰ期では5組の統合(5校削減)が発表されました。該当校の関係者にとっては、「なぜ、うちの学校が」と、寝耳に水のニュース。しかも発表されたのが12月上旬、中学ではすでに高校入試に向けて動き始めている時期で、中学生や保護者の不安もあおっています。
県民合意のない計画を上から押しつけるのは民主的な行政とは言えません。「高校改革」は、生徒、保護者、県民、教職員の十分な議論をふまえて実施すべきです。かながわ定時制・通信制・高校教育を考える懇談会では12月に、県議会への請願書と県教育委員会への要請書を提出しています。
高校統廃合で危機感をあおり、全県立高校を「指定校」で序列化して、
氷取沢・磯子、横須賀明光・大楠、三浦臨海・平農初声、平農・平商、弥栄・相模原清陵の5組の統合が発表されました。2016年度から12年間で「20〜30校(現142校の15〜20%)を削減(教育長の県議会答弁)」と、県内公立中卒生徒数が2016年70,319人から2028年62,950人へと約7,000人(10%)しか減らないことから見てもかなり過大な削減数となっています(右表参照)。
生徒と高校を競争にかりたてる「実施計画」
その一方で、全県立高校を指定校のどれかに指定し、今までの指定校のように「数年で異なる種類を持ち回りでまわしていく」のではなく固定的にして、それによって特色化・序列化をはかるという方向が示されています。
その最上層にあたる「学力向上進学重点校」は2016年度にエントリーした17校を、2年かけて10校に絞り、その後は3年ごとに進学実績などの指標で見直すという、競争主義そのものです。
再編統合による新校と統合後廃校となる高校一覧
地域 再編統合による新校(下線部の高校は統合後廃校予定) 横浜南西 氷取沢高校・磯子高校 → 全日制 普通科
★氷取沢高校の敷地・施設を活用横須賀三浦・湘南 横須賀明光高校・大楠高校(クリエイティブ) → 全日制 普通科(クリエイティブ)・福祉科
★横須賀明光の敷地・施設を活用三浦臨海高校・平塚農業初声分校(昼間定時制) → 全日制 単位制普通科・農業科
★両校の敷地・施設をそのまま活用県西 平塚農業高校・平塚商業高校(全日制) → 全日制 農業科・総合ビジネス科
★平塚農業高校の敷地・施設を活用高浜高校・平塚商業高校(定時制) → 全日制普通科、単位制による定時制普通科
★高浜高校の敷地・施設を活用県央・相模原 弥栄高校・相模原青陵高校 → 単位制による全日制普通科・音楽科・美術科・スポーツ科学科
★弥栄高校の敷地・施設を活用