2019年5月3日


廃科や機械的な学級減でなく、就学保障と学習権の保障を

『連合路線の見直しを ニュース』第12号(1993年11月1日)より


 

 「2年連続15人以下なら、廃科。これが後中検のルール」、「廃科がいやなら学級減」 ― こうした動きが最近、急速に強まってきています。
 ここで言われている後中検とは何でしょう。神奈川県後期中等教育検討協議会が正式名称で、県教育委員会の諮問機関の一つです。2年前の1991年5月に二次報告を出し、その中でこれからの定時制・通信制の教育に関していくつかの提言を行っています。

 そこで、定時制の統廃合のルールが決まったかのように言う人がいますが、それは違います。後中検報告は、あくまでも一諮問機関の報告にすぎず、それが定時制の統廃合の基準であってはなりません。そもそも、この報告については、組合をはじめ、たのしょだんたい、県民から多くの批判があがっています。


 また、「2年連続15人以下についても、全国的な統廃合の「目安」から見て異常に突出した数字といえます。廃科、募集停止の大まかな基準は、2年連続一桁が多く(北海道、茨城、愛知、大阪、和歌山、佐賀、長崎、宮城など)、2年連続5名以下(青森、東京、鳥取)、3年連続8名未満(三重)、2年連続0(長野)などとなっています(東京、大阪は新たな基準が示され、現在闘いが続いています)。

 廃科、廃課程に対しては、働く青少年をはじめとする県民の高校教育を受ける権利、学習権を保障することを基本に検討されるべきです。自宅や働いている場所から30分以内のところに、小規模であってもよいから定時制を残していくことがどうしても必要です。

 次に、学級減についても機械的な削減ではなく、十分慎重に行われるべきです。「1学級定員以上の欠員が2年間継続した場合には、学級減を減ずることが望ましい」という後中検報告をあたかも基準のように機械的に当てはめていくことは、極めて問題が多いといえます。

 最近の定時制は、障がいを持った生徒および留年生、また4月以降の転入学生も増えてきてくるなどの状況にあり、こうしたことを、2年間ではなく3年以上の期間で総合的に判断して学級減を考えるべきです。

 最後に、県教育委員会は潜在的に定時制教育を必要としている青少年や県民を発掘するという募集活動(ポスター、チラシ、リーフレット、車内広告など)に積極的に取り組むことが求められています。また、各定時制高校の生徒募集活動に対しても大幅な県費支給を行うことが必要です。
  

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