2015年1月23日


〜壊れていく教職員を救え〜

教職員の労働と健康「負担軽減の仕組み」  川口市の取り組み <下>



3.川口市の教職員メンタルヘルスカウンセラーの取り組み

 平成19年当時、川口市内教職員において、休職者が多数発生していた。この状況を未然に防ぐことを目的に、非常勤のメンタルヘルスカウンセラーを5年間導入した。メンタルヘルスカウンセラーの勤務時間は1日8時間であり、勤務内容は、主に面接を行うことである。面接では、精神的に限界に近づいていると本人または周囲が判断した教職員に関しては、すぐに学校に駆けつけ、きめの細かい面接を行う。

 また、特に面接依頼がない場合は、各学校を巡回し、教職員との面接を行う。表面的に問題を抱えていない場合は雑談を行う。このように、「いつでも相談できる人がいる」、がんばりすぎの教職員が「がんばらなくてもよい」場を作り出すことが、事態の悪化を未然に防ぐ上で大きな意味を持つ。

 また、教職員のメンタルヘルスで意外に見落としがちなのが、管理職のメンタルヘルスである。管理職も多くの悩みを抱えているが、一般の教職員よりも周囲に相談できない傾向が強い。管理職のメンタルヘルスを確保することも、一般の教職員のメンタルヘルスを確保する上で重要な要素である。

 さらに、カウンセラー自身の携帯電話の番号を、カウンセラーのご厚意により、市内の教職員に公開し、24時間体制で相談できるようにした。本来であれば番号の公開は職業倫理に反することであるが、学校における長時間過密労働の中で、ゆっくり話ができることは安心につながっており、川口市では、平成19年から23年までで延べ140件の相談を受けた。

 以上のような取り組みにより、川口市はこの取り組みにより、療養休暇に入る教職員を大幅に減らし、年間3〜4億円の削減することに成功した。このような、ソフト面での対策も教職員メンタルヘルスの維持・向上に必要な対策の1つではないかと思う。


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